2019.2.8(金)

第6回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

報告の形式の「前提を問う」

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報告会を目前に控えた中、他者に「報告」することに抵抗を感じるという声がメンバーの中から出てきていた。このスタディが「東京」との距離感や自分にとって「つくる」とは何かという問いに対して、逡巡しながら考え続ける身体性をどう獲得できるか、という実験であるため、「報告」という行為に違和感を感じるというのだ。それではどのようなあり方があるのだろうか。メーリングリスト上でやり取りが行われたが、今回はまず顔を合わせての意見交換からスタートし、納得がいく報告の方法を検討した。

この日までメールのやり取りで出てきた案は、「東京でつくる」にまつわるいくつかの質問を用意し、制限時間内に質問に対して「YES」か「NO」を回答、その理由や結果についてディスカッションするというもの。「あなたは東京が好きですか?」「東京はこれから面白くなると思いますか、つまらなくなると思いますか?」「東京でつくりたいものがありますか?」などの質問に答えることで、これまで行ってきたディスカッションと思考の積み重ねの一片を見せていく。
石神夏希は「これまでエッセイを書くことで自分の思考を旅してきたけれど、それを報告会の場で共有するのは難しい。でも、その一端をどうシェアできるかといったときに、パッとYESかNOかで答える切り口をつくるほうが、曖昧なものに短い時間でも触れられるのではないかと思いました」とこの形式を設定した狙いを話す。
しかし、このスタイルに対する懸念点もメンバーから挙がった。これまでの活動では、スタディの活動日にディスカッションしたことを個々人が持ち帰り、それぞれエッセイ執筆などを通して深め、また集まるという活動をしてきたため、急にやり方を変えることで「にわかにチーム化してしまうのでは」「まるで報告会がゴールのようになってしまうのでは」といった心配や、関わり方の質が変わってきてしまうのではという疑問が聞かれた。
一方、今回の報告会で試みたいのはあくまで石神が言うように「重ねてきた約半年間のプロセスをどういうふうにその場に立ち上がらせられるか」であることを改めて共有し、トライアルとして一問一答形式のワークを実施してみることとした。

事前に石神と嘉原妙が用意してきた質問にメンバーが回答をしていく。まずは「スタディを経て、あなたと東京との距離は変わりましたか?」。これについては意外とNO(=変わっていない)と答える参加者が多い。東京というものの認識や概念は変わったが、自分との距離や位置は変わっていない気がするという声が何人かから出た。
「東京はこれから面白くなると思う、もしくはつまらなくなると思う?」という質問に対しては、メンバーから「面白い、つまらないと思うの主語は誰なのか」という指摘が入った。東京がどうなる、というより「自分は面白がれると思う」というような視点だったら考えられるといった声や「いま退屈している人にとっても面白くなると良いなとは思う」という意見も。

また「今、東京でつくられるべきものがあると思う、ないと思う?」という投げかけに対しては、「“べき”っていうのは誰にとっての“べき”なんだろうか」「“べき”というと、他人、社会、規範みたいなものがある中で、必要であるみたいなことになっている」「“東京”っていう主語に僕らが対応できない」など、“べき”という言葉のまさに“前提を問う”声が多く上がった。
ここでメンバーからどちらに座るか問われた石神は、「私も一応、“ある”という前提で今は生きています」と答えた。

このような質問に対するやり取りの中で、石神は思わずこのようにつぶやいた。「問いを疑う意見が多く出てきたけれど、それがすごくいい。このスタディはサブタイトルにもあるように、“前提を問う”ことをしたかったから」。質問を受ける/立場を決める/答えるという枠組みの中で、メンバー一人ひとり、タイトルどおり「前提を問い」ながら物事に向き合い、思考する身体の姿が現れたトライアルとなった。

Text=嘉原妙 Photo=加藤甫

関連資料

第6回についてのお知らせメール
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差出人:石神夏希

2019年2月7日(木)

件名:第6回についてのお知らせメール

皆さま

時間の経つのは早いものであっという間に2月になってしまいました。。
先日、MLでもご意見を頂いた報告会につきまして、嘉原妙さんとも相談して
以下のような内容を考えてみました。
(手書きのイメージ図も添付しています)

1)部屋の空間を2つに分けて、「東京でつくる」にまつわる
 いくつかの質問に対して「YES/NO」「A or B」で
 制限時間内に、自分の当てはまる方に移動する。
 (よく、TV番組なんかでもある形式)

2)分かれた後、司会(明日は石神か妙さん)が
 任意の人に、その理由や詳細をマイクで短くインタビューする。
 発言がスタディ1の全メンバーに回るように。

3)報告会では、最後の1〜2つの質問については
 聴衆の皆さんも一緒に移動してもらい、任意の人にインタビューする。

いかがでしょうか?
よかったら明日のプログラムで、振り返りを兼ねて
一度実際にやってみたいと思っています。

質問は、明日に向けては私と妙さんでいくつか用意していますので
それをやってみて、皆さんからのご意見やブラッシュアップを盛り込み
報告会でもやってみたいと思っています。

意図としては、この前からのメールも拝見して
やはりスタディで時間を書けて話、エッセイをじっくり書く、
というプログラムを重ねてきたので、その内容を知ってもらうには
冊子を見てもらう他ないだろう。
であれば、前回阿部健一さんのお宅で最後に話したような
メンバー同士がいま何を考えているか、変化があったのか等
「問い」をシェアし、みんなが考えてみる場になるといいのでは、と考えました。

あとはシンプルに、皆さんが今どんなことを考えているのか知りたい、
たぶん皆さんもお互いに知りたいのでは、というのも理由です。

皆さんから別の意見があれば、報告会では違うことをしてもよいですが
ひとまず明日は、こういった形式で、
振り返りと感想のシェアをしてみたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします!