2018.9.17(月)

第2回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ミュンスターについて学ぶ

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ミュンスター彫刻プロジェクトを目指すには、まず、それがどのようなものかを知ること――。3連休最終日、初回から3日後という短いスパンでの開催となったレクチャー2回目。この日はゲストに美術ジャーナリストで、過去に2度ミュンスター彫刻プロジェクトを訪れている村田真さんを迎えた。佐藤慎也による「ミュンスター彫刻プロジェクトのアーカイブからみる傾向と対策2-1997、2007」と村田さんの「ミュンスター彫刻プロジェクトについて」のレクチャー2本立てで、ミュンスター彫刻プロジェクトの骨子を共有した。

まずは佐藤のレクチャーからスタート。1997年と2007年のミュンスター彫刻プロジェクト出展作品が紹介され、前回のレクチャーとあわせて40年分ものプロジェクトの動向を確認した。
続く村田さんのレクチャーでは、これまでミュンスター彫刻プロジェクトを訪れた際に見てきた作品を紹介。写真やデータからだけではわからない、作品の詳しい状況もたっぷり交えられ、まるで当時のミュンスターを村田さんと一緒に巡っているようだった。また、1970年代以降の日本の芸術祭のありようとミュンスター彫刻プロジェクトを重ね合わせ、「社会的価値」よりも「美的価値」に重きが置かれていた70年代から、芸術祭が定着し、「地域アート」批判が勃興した2010年代までの諸相を振り返った。その中では、日本の芸術祭にはみられない、ミュンスターの10年に一度という開催スパンについて、その土地を再訪すると10年前の自分を振り返るような、「ちょうど良い期間である」ということにも触れられた。

後半はディスカッションの時間となり、「村田さんの思うミュンスター彫刻プロジェクトの楽しいところは?」といったものから、「“社会的価値”を重視した芸術の批評性が失われていることについてどう考えているか」「日本の芸術祭では、建築家が当たり前に出品作家になっている傾向があるが、どう思うか」など、芸術祭というメディアへの問いまで、様々な疑問が投げかけられ、それらをもとに応答が進められた。「ミュンスターに比べると、日本の芸術祭では地域の人を主役にするため、アートをツールにしているように感じる」とナビゲーターの稲継美保(居間 theater)が言うと、村田さんは「アートのため、地域のため。何のために芸術祭をやるのかという問いに行き着くのだと思う」と、芸術祭というものの根底に関する応答も。さらに議論は芸術祭にとどまらず、社会的価値を重視した作品や活動がどのように保存されていくのか、芸術祭と美術館の関係などにも及んだ。

最後に村田さんから、「(2027年にむけての)傾向と対策を考えていても仕方ない」「(ミュンスター彫刻プロジェクトを扱うことについて)これは“東京”のプロジェクトスタディではないのか」といった本質的な投げかけがなされて、この回は終了した。
ミュンスター彫刻プロジェクトについてさらなる知識を蓄えると同時に、レクチャーを通して、参加メンバーがそれぞれの視点から自分なりの問いを持ちはじめたように感じられる3時間だった。

Text=堀切梨奈子 Photo=加藤甫