2018.10.21(日)

第3回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ぼんやり、もやもやと話す3時間

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「ミュンスター彫刻プロジェクトを目指すにあたって、傾向と対策を考えても仕方ない」というゲストの村田真さん(美術ジャーナリスト)の言葉で締められた前回。それでは、一体次は何に取り組めばよいのだろうか?

2027年にミュンスターへ行くという目標に向かって戦略的に何かに取り組むというよりも、その目標をきっかけとして、芸術祭やアートプロジェクトを探っているこのスタディ。稲継美保(居間theater)が、今回は、これまでのレクチャーを踏まえてそれぞれがぼんやりと考えていることを話す時間にしたい、と口火を切った。
話をする手がかりとしてまず最初に、居間 theaterが2015年と2016年に行った「としまアートステーション構想推進課パフォーマンス窓口」と、佐藤慎也が美術手帖に寄稿した「これからの美術館を考える(7)「第四世代の美術館」の可能性」が共有された。美術館からアートプロジェクトまで、現代における作品発表の場の幅広さがまとめられた前者について、佐藤は「現状のミュンスターは“祝祭的なアートプロジェクト”だけど、いまの東京をみるとそうじゃないあり方も考えられそうだと思う」と語り、後者については「美術と建築がそれぞれに時代の中で変容していき、それがシンクロした時に、その時代の何かができるというのが本当のところじゃないか」と発言した。

少し休憩をはさんだ後、稲継から、Twitterの鶴見俊輔bot(@ shunsuke_bot)の「ぼんやりした思想の領域、ぼんやりしたコミュニケーションの領域があり、それは、そのぼんやりしていることがするどく当事者によって自覚されているかぎり、科学においても、芸術においても、宗教においても、政治においても、日常の生活の領域においても、すぐれた創造のきっかけとなりうる」というツイートが紹介された。これまでのレクチャーを踏まえて、はっきりとした考えやそれぞれの得意なことではなく、ただぼんやりと思うことを話してほしい、と言い、あらかじめ用意されたお題が記されたカードを引きながら、そのお題について、みんなでぼんやり、もやもやと話しをしてみることになった。

「記録」「美術館」「場所」「パフォーマンス」。いくつかのお題についてそれぞれがぼんやりと思っていることを交わし、最後にスタディメンバーの青木祥子が引いたお題は「彫刻」。「平和の像や武将などのモニュメントとしての彫刻を、彫刻と思ってよいのだろうか」という青木のもやもやから、それぞれの経験や態度に即した応答で、話はどんどん広がっていく。日本中に多数存在する裸婦像への疑問から、それが平和の象徴として軍人像が置き換えられたものであることがわかり、日本の公共彫刻は「こと」をつくることに意味があるのではないかという仮説も生まれた。その話の流れで、Instagramのアカウントを作成し、目に付いた彫刻をアーカイブしてみることで、東京にはどんな彫刻が存在するのかを探ってみることも決定。
また、大学の彫刻科ではどんな勉強をしているのか、現代の彫刻のトレンドはあるのか、など、次第に彫刻そのものについて深く知っていきたいという思いが募っていく。そんなもやもやの最中、彫刻家でありながら研究・執筆・出版活動にも積極的に取組んでいる小田原のどかさんのWEB記事に辿り着いた。

Text=堀切梨奈子