2018.9.16 (日)

第1回

場所:小金井市環境楽習館

新しい出会い

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環境楽習館は、自然学習を行うための小金井市の学習施設で、外に庭があり、とても落ち着く場所である。初めての顔合わせで緊張していたはずだったが、不思議とその施設に入るだけで、緊張が少し和らいだ。

まずは、ナビゲーターの宮下美穂さんの挨拶から始まった。そのあと、その場にいた全員で自己紹介。全体的に福祉や医療関係で働いているメンバーが多い印象で、僕としては、もう少しアート関係の人が多いと思っていたので意外だった。

次に、ゲストアーティスト3名のプレゼンテーションが行われた。写真家/映画監督の大西暢夫さんは、15年間取材した岐阜県徳山村の話をきかせてくれた。徳山村はダム開発によって水没した村である。大西さんは、ダム開発によって消えようとしている地域とそこに暮らす人、そしてその土地の文化に寄り添うように記録。話の中には、しばしば食べ物の話が登場する。トチ餅、塩味のおはぎ、そば粉。人が生きるということは、ものを食べるということであり、それが文化を形成しているのだな、と考えさせられる。

休憩を挟んで、次は花崎攝さんのワークショップ。花崎さんは野口体操講師を務めていて、そのメソッドに則ったワークショップが行われた。「身体を水の入った袋」とイメージするのが野口体操の考え方。実際に、水の入ったビニール袋をお腹に乗せながら、身体を揺らしてみる。寝転び脱力して、自分の身体が水入りの袋であるようにイメージしながら、揺らす。最初のステップは、身体を揺らす程度なので簡単だが、ステップが進み足を上げたりするようになると、脱力しながら、一部には力を入れるという加減が必要で、意外に難しい。自分の身体は意外に自分の思い通りにはならないということに気づく。

最後は、ドイツ在住のアーティスト・揚妻博之さんとのビデオ通話。揚妻さんがアーティストになった経緯とドイツでの活動について伺い、映像作品を見せていただく。川を題材とした作品は、流れる映像を見ていると「境界」という言葉が、思い浮かんだ。僕がこのプロジェクトに参加した理由の一つは、アーティストがどのように作品をつくるのかということに関心があったからだ。そのため揚妻さんの話は、とても興味深かった。やはりアーティストは、感性を使い、悩みながら、作品の完成にたどりつくということがわかったように思う。

実は、この日のことは断片的にしか覚えていないのだが、チューターのマスターのメモをみると、「(自分を含めた)新しい出会い」と書いてある。これはナビゲーターの宮下美穂さんの言葉だったような気がする。スタディ5を表現するコンセプトとして、これまでにやったことのない活動をしてみましょう、という意味でこの言葉を使っていたように思う。僕はこの回が終わった後、宮下さんに「アートなんてやったことないんですが、大丈夫でしょうか?」と質問した。それに対して「やってみなさい」的なことを宮下さんは答えた。うーん、大丈夫なんだろうか。あまり釈然としないまま帰路に着いた。

Text=松山雄大