2019.10.26(土)

第5回

場所:小田原

ティノ・セーガルのパフォーマンス見学!

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記録係の西島慧子です。
スタディ2 第5回目は、10月26日(土)に、ティノ・セーガルのパフォーマンスを見学するため、小田原の江之浦測候所へ足を伸ばしました。

今回鑑賞したティノ・セーガルは、“ある指示”に基づいて動くパフォーマー「インタープリター」による「ライブワーク」によって、観客に “ある体験”をさせるパフォーマンス作品を創作するアーティストです。これまでのスタディ2を振り返ると、彼の作品は美術のなかのパフォーマンス作品でもあり、第3回のキーワードに出てきた“委任されたパフォーマンス”にも当てはまります。過去にはヴェネツィア・ビエンナーレなどの国際芸術祭やパレ・ド・トーキョー、テート・モダンなどの美術館でも展示。日本では、岡山芸術交流2019などに出展しています。しかし、写真や映像などの記録を一切残さないアーティストのため、作品の全貌は謎に包まれています。

そして、舞台となっている小田原文化財団江之浦測候所は、JR根府川駅からバスで山道を登った高台に、写真家・美術作家の杉本博司氏によって計画・設計された施設です。施設内には、杉本作品を鑑賞するギャラリー棟、茶室、光学硝子舞台、庭園、寺から移築された門など、杉本氏が収集したものとともに作品が再構築され、設置されています。

江之浦測候所に到着すると、空は快晴で、少し暖かい日差しが降り注いでいました。わたしたちは受付後、さっそくティノ・セーガル作品のある野点スペースに向かいました。野点スペースは断崖にあり、ちょうど相模湾と真鶴半島が一望できる場所に位置しています。
そこでは、中央にある石のテーブルと椅子の横に、ひとりのインタープリターがポツンと地面に座っていました。わずかな動きをしながら、小さな声で何か歌っています。じっと見ていると、ふたりのインタープリターがおもむろに合流。不思議な言葉とボイスパーカッションのようなリズム、彼ら3人の歌声と海風や鳥の声が合わさったライブワークが展開されていきました。
わたしたちは、インタープリターたちの近くや少し離れたところで、距離を変えながら見ていました。途中、奥にいたスタッフがお茶を点て、テーブルにいた観客に振る舞ったかと思うと、遠くにいた人たちにもインタープリターの一人が温かいお茶を振舞っていました。

ティノ・セーガル作品を観た後は、案内パンフレットの解説を読みながら、施設内に設置されている作品をひとつひとつ観ていきました。竹林やみかん畑のなかを歩いていくと、突然、杉本作品に出会ったり、何気ない敷石について解説文を読むと、世界中から集められた石であったりと、敷地内の自然や景観も含めて、杉本氏の世界感が広がっていました。

見学後のランチディスカッションでは、見学の感想や疑問を共有しました。
ティノ・セーガル作品については、「インタープリターが見ている人たち全員にお茶を持ってきてくれるのが良かった」「インタープリターは遠くで見ている人も意識していた」など、インタープリターと観客の関わり方や、「ティノ・セーガルはどう作品を売るのか?」「領収書もメモも残さないらしい」など、制作の裏側への意見や疑問が出てきました。
そして、江之浦測候所については「整備されていて、杉本博司氏の世界感を強く感じた」「古美術の印象が強かった」「管理はどうやっているんだろう?」などの感想が挙がりました。
いままで、写真や映像を通して共有してきたパフォーマンスをメンバーみんなで体験したことで、環境や雰囲気などを含めた状況の共有ができた一日になりました。

次回は、スタディ後半に“何か”をつくっていくにあたって、これまで出てきた議論やメンバーが疑問に感じたことなどを色々と話していく予定です。

Text=西島慧子