2019.12.22(日)

第9回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

パフォーマンスにおけるフェアトレード

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記録係の堀切梨奈子です。スタディ2、第9回目は12月22日(日)13:00から、ROOM302で行われました。

今回もまずは、それぞれがリサーチしてきた工事の報告から。最近連続して話題に挙がっている千住仲町の工事を、山崎と宮武も見学。そこには“コンストラクションランド”とも呼べるような、工事を楽しく知ることができる世界が広がっていたのだそうです。酒井と成澤がリサーチしたのは、歩道橋の塗装工事。足場で周囲を包まれた歩道橋に、警備員さんに誘い込まれて入る体験は、まるでアトラクションだったとの報告。成澤がリサーチするなかで感じた、「みんなが使うものをみんなのお金(税金)でつくる、という公共がある一方で、警備員さんが優しく対応してくれることも公共だと感じた。わたしたちは、今回の作品の、どこで公共したらよいのだろうか」という疑問では、“公共する”という新しい動詞が発見されました。東の、パワースポットのように工事現場をめぐるというアウトプットの提案に対しては、「工事のパワーは金額?」「工事車両が神様?」といったアイデアも。碓氷からは「どの工事にも共通して見られる“ご迷惑をおかけします”という言葉を公共的なワードと捉え、それを活かしたアウトプットができないか」という投げかけ。鈴木は、いくつかの工事をリサーチするなかで、工事を立ち止まって見ることの難しさについて触れていました。

ひととおりのリサーチ報告を終えると、佐藤から「工事現場にパフォーマンスを委ねる“委任されたパフォーマンス”では、搾取が起きてしまわないか。それを解決するための“フェアトレード”は何に当たるのか。共同作業と搾取の境界線は何だろう」と、今後の作品づくりのスタンス(態度)にも関わるような問いが投げかけられました。東からは、「居間 theaterのこれまでの作品創作で、見えていないとされている(実際にはあるはずなのに無意識に見ていない)ものをいかに見るか、という試みに人を介在させなかったのは、フェアではないと感じていたからかもしれない。そのとき、見えていないとされているものは本物(事実・現実)である必要がある。今回の本物は何だろう」との返答が。さらに「そもそも、工事現場にはいつも『ご迷惑をおかけします』という掲示があるように、工事自体が、必要以上に腰が低く、既にフェアではないように感じる。ライフライン工事などはわたしたちの生活に欠かせないはずなのに」という別の角度からの意見も。これをきっかけに、「マイノリティのトレードに対する、マジョリティの寛容さが必要なのでは」「税金でやっている工事も我々のためのものなら、寛容であり感謝するべき。一方で、そこを通過するだけで工事の恩恵は受けず渋滞にはまってしまう人にとってはフェアではない…?」「税金を払うこと自体をマイナスに捉えている人もいる」「下水道コンクールは、工事をしている側がフェアトレードをしようとしている試みと捉えられないか」「工事を見ること自体に搾取はなく、工事を見ることにアートの見立てを重ねることが搾取なのでは」など、まだまだ定義が曖昧な今回の作品制作における“フェアトレード”について、さまざまな言葉を交わしました。

具体的なアイデアも出しつつ、それぞれがアイデアや工事の何を面白いと思っているのかも、大事なポイントになりそうです。次の年明けのスタディに向けては、その辺りも考えてくることになりました。

Text=堀切梨奈子