2020.12.11 (金) 〜 12.13 (日)

第8回

場所:12月11日(金)ROOM302(アーツ千代田3331)/12日(土)竹の塚〜北千住 /13日(日)アーツカウンシル東京

デートをして、シナリオを書き、上演してみる

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アーティストの友政麻理子さんをゲストに招いたワークショップは、12月の週末に3日連続で行われました。

1日目は金曜日の夜。ROOM302にて、友政さんの活動紹介レクチャーからスタート。
食事の間だけ友政さんと知らない男性が親子として振る舞う《Have a meal with Father》。商店街の小売店で起きる「この前買ってくれたからおまけしてあげる」「この前美味しかったからまた買う」といったポジティブな貸し借りに着目し、借りたまま返せていないものを集めた《よろっとナスベースキャンプ》。ある土地に関係する人々と自主映画をつくる《知らない路地の映画祭》。山のなかで和尚さんの散骨する場所を探しているうちに同行しているネパール人とプライベートな話をするようになる《アニタの眼》。友政さんが自身の家族とのプライベートな目的のためにつくった“花のロープ”を、家族とは何の接点もない、展示を見に来た人たちと拡張していく《ハナデンシャで行こう》。コロナ禍でオンラインコミュニケーションが普及し、モニターで映像を消費していくのが辛くなってきたときに、映像を窓に投影し、映像を浴びるような感覚をつくりだした《窓映画館》。友政さんは自身のことを「テーマにしようとしているわけではないけれど、人がかかわろうとしているところを扱っていることが多い」と言っていたのが印象的です。
そんな友政さんから投げかけられたワークショップのテーマは“デート”。人が人を連れ立ってどこかへ行くデートは、友政さんが、いま、いちばん気になっていることだそう。スタディメンバーはそれぞれ事前に身近な人から聞いたデートにまつわる話を紹介。
箱入り娘だったお母さんが、お父さんと出会って世界が広がった話。携帯がなかった時代、連絡の取りようがなく、相手に出会えずに終わった初デート。オンラインでしかデートしたことがないから身長がわからないチベット人の恋人、など。色々なデートの話をしました。

翌日13時。竹ノ塚駅から20分ほど歩いたところにある元渕江公園の彫刻『はばたく』の前に集合したメンバーは、くじ引きでふたり1組のペアを決め、デートに出かけました。再集合する時間と場所だけ決められており、デート中の過ごし方も移動手段も自由です。
夜、デートを終え再集合したメンバーに1日の出来事を聞いてみると「バスで北千住へ移動して、20分くらい列に並んでオムライスを食べた」ペアもいれば、「お寿司を食べて、ビールを飲んで、荒川で夕日を見ながらアイスを食べて北千住まで歩いてきた」というペアもいて、食べたものや場所、再集合場所までの交通手段もまちまち。「公園のベンチでお話をして、喫茶店に行って、パートナーが知らない間にお会計を済ませてくれていてキュンとした」「古着屋で羽織ってみたコートを、パートナーに『違和感ない』と言われたこととセールに後押しされて購入した」「スーパーで買った焼き芋を、食べる場所にこだわりすぎて結局食べることができず、いまもカバンのなかに入っている」と、少し話を聞いただけでも、それぞれのペアで全く異なる時間の過ごし方をしたことが伺えます。

2日目の最後には、友政さんが構想しているデートをテーマにした映画のドローイングがスタディメンバーに手渡され「この映画のシナリオができなくて困っている。明日はデートをテーマにシナリオをつくって欲しいので、イメージしてきて欲しい」「シナリオは、セリフがない状況設定などの指示書でもよいし、セリフが並んでいてもよい。最終的に、他の人が演じることを前提としたものに仕上げ、居間 theaterのノウハウをつかってスタディメンバーで上演してみたい。さらに、上演の様子を撮影したい」と予告がされました。

最終日。アーツカウンシル東京の会議室に集合したスタディメンバーは、友政さんと、表現したいことや場面設定などについて相談しながら、各自シナリオを仕上げます。宇宙人と地球人の超遠距離デートや、デートの待ち合わせをしてから出会うまでの時間の出来事、オンラインデート、明日のデートの感想を言い合うカップル、など、さまざまなシナリオが完成しました。
最後に、ひとつのシナリオについて1回限りの上演をしてみる時間。といっても、基本的には会議室にある椅子や机と、居間 theaterが持ってきた少しの小道具を使い、ほとんど即興で上演を立ち上げます。登場人物を演じる人、椅子やパーテーションを動かし場面転換をする人、照明のオン/オフをしてシーンを切り替える人、シャボン玉で幻想的な演出をする人、カメラを持って映像を撮る人、カメラのケーブルを捌く人、など、シナリオごとに、臨機応変に役割を担いながら上演するうち、スタディメンバーには一体感が生まれ、最後のシナリオを演り終えるころには不思議な達成感に満たされ、デートについてさまざまな手法で取り組んだ友政さんとの3日間のワークは終了しました。

今回でゲストとのワークは終了し、次の“つくる”はいよいよ、ナビゲーターとのクリエイションです。

Text=堀切梨奈子