2020.12.16 (水)

第9回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

“デート”の振り返りと最後のクリエイションに向けて

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2020年最後のスタディは、ゲストアーティストを招いたワークで考えたことや感じたことを言語化する通称・振り返り回と、年明けに行う最後のクリエイションに向けて、ナビゲーターが現在考えていることや進め方を共有しました。

今回はこれまでの振り返り回のような“つくることについて言葉にする”、“つくったことから問いを立てる”といったお題はありませんでしたが、スタディメンバーやナビゲーターから友政麻理子さんとのワークを通して経験したこと、考えたこと、気付いたこと、問いが言葉となって共有されていきます。

「デートというテーマだけが与えられ、完成形が見えないまま進んでいく3日間がおもしろかった」「デートがRomantic Appointmentなら、終わった後にRomanticだったのか、そうでなかったのか、主観で判断して良い感じがある」「それぞれのイメージが含まれているデートという言葉だからこそ、捉え直してみるおもしろさや奥深さがあると感じた」「自分のシナリオが上演されると、客観的に自分の経験を目で捉えることができるようになった」「役を演じている間に、だんだんとシナリオの作者の気持ちに感情移入ができた」「シチュエーションだけ決まっているシナリオを演じたときには、何もないところから無理やり立ち上げるおもしろさがあった」「モノローグが長いシナリオの上演では、会話でつながない、演劇の自由な時間の使い方を感じた」「2日目の“デートごっこ”というフィクションを経験して書かれたフィクションのシナリオが、上演されると演じた人のリアルになっているようでおもしろい」「友政さんの、誰かと何かの時間をすごした経験から作品をつくるというつくりかたを垣間見た。我々もそれをを研ぎ澄ませていけばかたちにすることができると思った」
多くの人が当たり前に使う“デート”という言葉をさまざまな方法で捉え直したことや、シナリオづくりと上演の両方を経験したことなど、“デート”というひとつのテーマに3日間さまざまな手法で取り組み、フィクションとリアルを行き来しながら作品を立ち上げたからこその気付きと思考の広がりが交わされました。

休憩を挟んで後半は、1月にナビゲーターと行う最後のクリエイションに向けて、ナビゲーターがいま考えていることをスタディメンバーに投げかけます。最後のクリエイションでは、これまでのワークを通して得た経験や感覚を持って、スタディメンバー全員でひとつの作品をつくります。
居間 theaterから提示されたふたつの大きな目標は、「体験・鑑賞してもらう作品を、自分自身が興味のあるテーマやひっかかることに触れながら自覚的につくる」と、「パフォーマンスをしている(演じたり、振る舞いに自覚的になる)状態をつくる」です。クリエイションの形式としては、これまでのワークと同様に、スタディメンバーそれぞれが、自分の興味関心のあることやひっかかることを立ち上げていきます。ナビゲーターは製作過程でスタディメンバーと面談をしながら、全員のアイデアをひとつの作品にしていく枠組みのディレクションを行っていくそう。

さらに、居間 theaterの作品制作の特徴として、カフェ、行政窓口、待合室、劇場など、用途や場の前提が人びとに共有されているところに“フィクション”を重ねるという、基本的なふるまいを作品の手がかりとしていることが挙げられますが、今回のクリエイションにおけるフィクションは“検査”。「空港の手荷物検査とか、水質、測量、土地、実験など、無限に読み解くことができる一方で、いまは誰もがPCR検査を思い浮かべ、どきっとする言葉でもある」「検査は白黒はっきりさせるイメージがあるけど、行為として検査をするのでいい。検査をして、白黒つけてもいいし、よくわからない答えが導き出されてもいい」「お客さんは“検査”と言われると“被験者”みたいな気持ちになるかも知れないし、お客さんが検査をする側でも良いかもしれない」と質問と応答を繰り返しながら、イメージが共有されました。

本番は、2021年1月24日(日)。本番直前の22日(金)に全員が対面で集まるまでは、年末までにそれぞれの作品のアイデアを共有し、年明けには個別にZoom面談を重ねてクリエイションを進めていきます。
この日は最後に「よいお年を」と挨拶をして、ROOM302を後にしました。

Text=堀切梨奈子