2021.1.22 (金) 〜 3.7 (日)

クリエイション

場所:オンライン、ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

変化する社会状況の中でつくる

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2020年12月、年内最後のスタディで示されたナビゲーターと行うクリエイションの共通テーマは“検査”。これまで行ってきたゲストアーティストとのワークと大きく異なる点は、お客さんがいることと、スタディとしてひとつの作品をつくること。2021年1月24日の本番に向け、居間 theaterによるディレクションのもと、スタディメンバーが各々の興味や問題意識を個別に立ち上げながらも、それらの集合をスタディとしてのひとつの作品と呼べるような状況を目指します。

年末にはスタディメンバーから、自分が立ち上げたいもののプランを記した“アイデアシート”が提出され、「ニューノーマルの時代に合わせた検査を美しくうける所作講座をやってみたい」「白衣を着て日常で感じている違和感をパフォーマンスにしたい」などの“検査”に自分の興味を重ねるようなアイデアや、「友政さんのワークの中でみんなで演じることが楽しかったので、みんなで何かをやりたい」「大和田さんのワークでの生物の状態が変わるということや、友政さんの作品の相手に何かを意識させるような設定がおもしろかった。会場に来たお客さんが、入ったときと出る直前に同じものを見るけど意味が違って見えるようなものをつくりたい」といったこれまでのワークで印象に残ったことをヒントに何かを立ち上げようとする提案がされました。
年が明けてすぐ、それを元に居間 theaterとスタディメンバーがZoomでの個別面談。「複数あるアイデアのなかで、1番の興味のポイントがどこにあるのか」「興味に対して、個人的な感覚と社会的な感覚の両方を取り入れることができないか」など、興味の焦点とそれをみせる角度や立ち位置についてのやりとりがされ、会場に訪れたお客さんにさまざまな“検査”を体験してもらうべく、クリエイションが進められます。

そんな中、2021年1月8日に東京都へ緊急事態宣言が発出。ナビゲーターとスタディマネージャーの間では、なんとかお客さんに会場へ足を運んでもらうプランが実現できないかと模索されましたが、最終的には、“対面”での活動と発表ができないことと、1月22〜24日に予定していた本番は中止とすることが決定。

当初の計画では本番の会場で準備を始める小屋入りの予定日だった1月22日。今後の方針を確認するためにZoomで集まったスタディメンバーに、居間 theaterから「最後の創作をやめることはしたくないので、形態を変えて新しい方法でつくることを続ける」ということ、また、そのために「“検査”に加えて“郵送”という手段を新たな共通テーマとして、“検査キットをお客さんに送る”という大枠で3月の本番を目指したい」ということが伝えられました。
さらに、アート作品を郵便物として送る『メールアート』や、鑑賞者への指示(instruction)を中核とする『インストラクションアート』の過去の事例も参照しながら、“郵送”が持つ時間感覚や方法の特徴や、この非対面の作品を“上演”にすることはできるのか、“郵送”するものがスカルプチャーになり得るのか、といったことについても議論がされ、改めて“非対面”でのクリエイションがスタート。3月8日からはじまるお客さんと“非対面”での本番(郵送期間)を目指します。クリエイション序盤はZoomをベースに個別面談をおこない、「送ったものを通してお客さんが検査しているつもりが被験者になっていたような違和感を感じさせたい」「その体験をすることでお客さんはどんなおもしろさを得ることができるのか」「郵送すると家主に招待されなくても人の家に侵入することができる感覚を活かして不思議なものを送りたい」「受け取った人の深読みや誤解をおおらかに受け入れてはどうか」など興味のあるテーマを立ち上げるための目的や態度についての抽象的なやりとりが多くされますが、後半はLINEやSlackを主に用いて進捗状況を伝えたり、細かい送付物のデザインを調整するなどスピード感のあるやりとりに。

3月8〜20日、『パフォーマンス検査(キット)』が開催され、思考と議論と作業を重ねて立ち上げられたものたちは、大きさも形も中身も異なる合計12の郵送物としてお客さんの元へ発送されました。

Text=堀切梨奈子
Photo=冨田了平