2021.1.17 (日) 〜 2.7 (日)

第10回

場所:Zoom

課題を潰しながら、制作のギアを上げる

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第10回は、第9回に続いてメンバーが自身のプロジェクトの進め方などに関してナビゲーターの阿部航太と議論を交わす面談を実施。1月末から2月にかけての4日間、各日3人程度が参加した。

比較的早くから挑戦したいプロジェクトを頭に描きながら活動を始めている人もいれば、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてプロジェクトを根本から見つめ直す必要が出てきた人もいるなど、参加者間で進捗にはムラがある。

阿部からは、「スタディ期間内にプロジェクトの完全な最終形をつくり上げる必要はない」と何度かすでに念押しがされているものの、やはりメンバーの間には少しずつ焦りの色も見える。

そこで、焦って間に合わせの急ごしらえの作品をつくったり、自分で満足できないような取り組みに終始することがないよう、改めて主に以下の項目を確認し合った。
・選択するメディアは。(紙媒体 / ウェブ / イベント)
・誰に届けたいのか。
・何を届けたいのか。
・どうやって届けるのか。

水戸市の商店街でたばこ屋を営んできた廣木眞琴は、近年、街に増えてきた海外ルーツの人にインタビューをし、記事にまとめる予定だ。

すでに、馴染みの中華料理屋の中国出身の店主にインタビューを行ったが、内容が「あまり面白くない」と納得できず、再度取材を行いたいのだという。

インタビューでは、店を始めてから感じてきた日本社会への違和感や、日本の人々とのあつれき、苦労した話などを質問してみたものの、「日本人はみんな優しいから」などとかわされてしまったそう。

「表面上の話だけになってしまっているので、日本人とどう関わってきたのかを突っ込んで聞きたいと思います。でないと、情報誌のお店紹介のような表層的な話で終わる気がして、このままではダメだなあと…」

ただ阿部からは、地域で飲食店を営む立場から、なかなかネガティブなことを話せないということもあるのではないか、と指摘。

「これをどうしても聞きたいという構えでいくのではなく、質問に工夫が必要。『こういう目的のために、こういう話を聞きたい』と言えば(企画の趣旨が)伝わる気がするんですが、その目的のところが見えていない気がします。海外ルーツの人の話を聞いて、それを発信することで廣木さんが何をしたいのか、という点が重要だと思います」と語った。

廣木は、メディアを誰に届けたいかという点はまだ定まっていないものの、「取材で話を聞いていくと、自分が海外ルーツの人に対して抱いていた思い込みというか、偏見とか色眼鏡があるなと実感しました」と語り、そうした心の変化を伝えたいと強調。

それを聞いた阿部は、「つまり色眼鏡を外してみましょうよ、と伝えたいということですよね?ではその思いを素直に伝えてはどうでしょうか」と提案。

「『自分も色眼鏡を持っている。この街の人も持っているかもしれないから、色眼鏡を外すきっかけをつくりたいんだ』と。そうした説明があった上で苦労話を聞かせてほしいとお願いするならわかるんですが、単に『苦労話を聞かせてほしい』『生活を教えてほしい』では教えてくれない気がします」

また、取材をしたのになかなか文章にまとめる段階にまで進めていない点や、追加取材が新型コロナウイルスの影響で困難になっている点なども踏まえ、阿部は、現状の素材で書き始めてみることを強く推奨。「まずは手を動かすことが重要なのかなと思います」と発破をかけた。

廣木は、まだ迷いを抱きつつも、「やってみます」と回答。

「追加のインタビューが無理なら、自分の主観と問題意識で、人々の人間観察みたいに書き出したりしようかなと」

「自分としては、一人称でモノローグのようにして、中国の方との取材の時のやりとりを拝借して使っていくような、私小説みたいな感じでやろうと思っています」と方向性を伝えた。

また都内の大学生・関あゆみは、知人と宗教をテーマに雑談を交わし、その模様をラジオで発信する取り組みに挑戦。

「宗教であれば、日本人同士でもルーツに差が出るので面白いかなと」と語ったものの、トライアル収録を経た第9回の面談では、「あまり面白くなかった」と不満げで、 「自分たちが当事者として話せていなかった。『親が〜』『そういえば〜』という切り口ばかりだった」と反省を口にしていた。

この日の面談では、改めてメディアのターゲットを確認。当初は、「特に宗教に興味がない人に聴いてほしい」と語っていたが、「ラジオが好きな人、(宗教と)似たようなトピックにアンテナを立てている人」に届けたい、と微修正。「何回かクローズドで公開して、後から範囲をオープンにしていくのを目指したい」と見通しを語った。

メディアをどう人々に伝えるかについても悩み中で、「YouTubeに限定公開でアップするというのも考えていますが、もう少しスマートな方法がないか探ってみたいです」と話した。

前述したように、進捗や課題の明確さなどは人によってまちまちな状態だが、ともかく3月末のスタディ終了に向けて何らかのかたちに仕上げるには、もがきながらでも作業は進めていく必要がある時期に来ている。

だからと言って焦りすぎることで、ターゲットやコンテンツの設定などの詰めが甘くなってしまってはいけない。そこで次回第11回では、ナビゲーターの阿部以外にも客観的な目でメンバーの制作に助言できる存在として、第4回と第6回でそれぞれゲスト講師を務めた、金村詩恩さんと川瀬慈さんが再登場し、お悩み相談にのってもらう。

メディアの第一線で活躍するゲスト2人との再会とそこで生まれる議論は、参加メンバーのモチベーションをより高い次元へと引き上げてくれるだろう。

※第10回は、1/17、1/23、1/31、2/7の4日間で実施。

Text=鷲見洋之