2018.12.22 (日)

第6回

場所:小金井市環境楽習館

おいしい年末

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今回は、ゲストアーティストふたりの時間が前半後半にわかれてあった。
まずは大西暢夫さんのトークから。写真家の大西さんは映画監督でもあり、最近、長期で入院している精神科病棟の患者さんが沖縄旅行を目論む『オキナワへ行こう』という映画を完成させ、全国各地で上映している。今回はそれに関連して、精神病院の取材経験についての話だった。
僕は、精神病院に入っている人と自分にはほとんど違いがないのではないかと思っている。しかし、何十年も同じ場所で過ごしている人のお話を聞くと、ちょっと想像がつかないなと思う。どんな人生なんだろうか。でも、大西さんのまなざしを通して描かれる彼らは、楽しそうで生き生きしていた。
とても印象に残っているのは、大西さんに対して自分の壮絶な人生を語った方の話だった。後からわかったのだが、実はその方はかなり長期入院していて、その壮絶な人生は架空の話だったという。だが僕には、その話が嘘のようには思えない。もちろん実際に経験はないのだろうが、その人の中で、その人生はある意味において真実なのではないだろうかという気がした。

次は花崎攝さんと一緒に、身体を使ったコミュニケーションを行った。まず、2人一組になり身振りを加えたコミュニケーションをする。例えば、交互に「1→2→3」と言うのだが、その時「2」は口に出さず、足踏みをする。そうやって数字の発話と足踏みをエンドレスに続けていく。しばらくすると今度は、1で「拍手をする」など、どんどん番号を動作に置き換える。最終的には、すべての数字が身振りの連鎖になっていくのだが、その身振りは、ペアで話し合って決めるのである。身振りの連鎖は、なんだかとても儀式的な感じがして面白かった。
それから、ある戯曲をもとに演技のワークショップをした。登場人物は2人。すべての発話に対して「はい」としか言わないもう1人が、最後に「いいえ」という戯曲である。これを先ほどの2人組で、それぞれにシチュエーションを考えて演技をする。役割なくただただ対話をしたり、主人と召使になるなど、全員見事にまったく違うシュチュエーションだった。

さて、この日が年内最後ということで、みんなで食べ物を持ち寄って、打ち上げをした。僕が持ってきたのは、近くのスーパーで買った納豆のふりかけである。誰か必ずご飯を持ってくるだろうと予想して、納豆のふりかけを買ったが、誰もご飯を持ってきた人はいない。しかし、食パンを持ってきた人がいたので、そこにふりかけて食べてみた。思いのほかいける。おいしい年末を過ごした。

Text=松山雄大