2019.2.24 (日)

第10回

場所:パズル浅草橋

ぐだぐだ、あるいは迷うこと

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スタディの総括として、報告会が開かれるらしい、という話を最初にどこで誰に聞いたかはまるで覚えていない。たぶん宮下美穂さんがアナウンスしていたのだろう。とりあえず、行くだけ行こうとは思っていた。

私は実に失礼なことに、スタディ3の途中くらいから参加していた。スタディ4の発表が始まると、ほかのスタディ5の参加者たちに何らかのどよめきというか動揺のようなものが走っていることに気づいた。聞けば、ほかのスタディは、すべて「東京」というキーワードがそれぞれを横断している。我々だけ、明らかに浮いていたのだ。

そんなざわざわした気分のまま、自分たちの番となってしまった。宮下さんがスライドを見せながら、たとえば「これはブラインドウォークしているところですね」あるいは「佐野書院で集まっているところです」など、それぞれの写真や映像を説明していった。それに対し、主に辻隆公さんや私がときどきツッコミのような合いの手のようなものを入れていった。「ブラインドウォークのときは、ほぼ初対面の人に自分の身体を預けるので……」といった具合に。

結局、この日の私たちはぐだぐだであった。宮下さんの発表は面白かったし、撮りためてきた写真なども役にはたったのだけど、全体的に場違いな感じがした。しかし、それがとても面白かった。辻さんは終わってから、「スタディ1に続いてスタディ2も東京で、ふーんという感じがした。スタディ3が東京で、みんなおや? と思い、スタディ4も東京で、何が起きているか全員理解した」と語っていた。
このぐだぐだというか、「迷っている」感じは嫌いではなかった。集まってきた人たちに来てもらっただけの価値を提供できたのかは、かなり心許ないけれど。しかし、ほかのスタディのことを聞けたのはとても良い収穫だった。
懇親会に出たあと、私はスタディ4のナビゲーターである、アーティストの瀬尾夏美さんから、著作である『あわいゆくころ 陸前高田、震災後を生きる』を購入し、家路についた。

迷うこと、不格好であること。それらの対義語としてスマートがある。スマートフォンのスマート。でも、それはインテリジェントであることとは違う。身体、五感、感情、それらも含めた総体が、たぶんインテリジェント(知性的)であることなのだろう。

Text=吉立開途 Photo by=川瀬一絵