2022.1.10 (月・祝) 〜 2.10 (木)

クリエーション 

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

共創・共在の道のり

1/10

年が明け、2月の展覧会に向けた本格的なクリエーションが開始した。
週に一回のペースで全体での進捗共有や各種相談が行われたほか、自由な作業場としてROOM302をオープンする日も随時設けられ、ナビゲーター、メンバーが入り交じって制作と対話を重ねていった。
徐々に新型コロナウイルスの感染が再拡大していった影響もあり、オンラインで参加するメンバーもいた。

作品に取り組むのは10名。
痕跡、温度、つながり、声、編む、フラットな関係、音、匂い・・・。各々が触れたい感覚や起こしたい出来事を探求していく。

例えば、詩を読む実験。伊藤が持ち込んださまざまな詩集を手に取り、車座になって順番に詩を読む。
例えば、糸でつながる実験。柳原が用意した毛糸をふたりで手首に装着し、つながってみたり、ちぎれてみたり。
例えば、墨汁を染み込ませた尻尾で「書く」実験。尻尾を縫い付けた防護服をまとった大塚が、床に敷いた大きな半紙の上を歩いてみる。

作業場はROOM302だけではない。例えば二瓶はホッカイロをまちなかのベンチの裏に貼り付けて暖かさを仕込み、波多野は「味方をつくってほしい」という手紙をどうしたら相手に伝わるか頭を悩ませながら書き、山田は自宅や行く先々で毛糸を編んでいた。

並行して、有志数名による「共創」チームは「フラットな関係で他者とつくる」体験を求めて、相談を重ねながらその仕掛けを考えていった。
作業や実験だけでなく、スタディマネージャーの嘉原やナビゲーターのふたりにモヤモヤや迷いを相談する光景も頻繁に見られた。

試すことで発見があったり、壁にぶつかったり。するとやり方を変えてまた試す、対話をする。個々の創作であると同時に、スタディ1という創作の場が着々と生み出されていっているように感じた。また、創作と向き合うことが「自分が求めているものは何なのか」「なぜわたしはこのことが気になるのか」と自分自身を探求する過程になっているようにも感じられた。

展覧会のためには決めていかなければいけないことがたくさんある。
会場や会期、タイトル、誰をどのようにお誘いするのか、WEBでの情報の出し方、どのように記録を残すのか、など。

「イベントとして大勢ひとを集めるというのではなく、みなさんが届けたい、関係をほぐしたいひとを招くということができたら。スタディ1に仲間が集ってくる場をつくるというイメージ」
と、1月上旬の和田は話す。

あわい、間、むすぶ、ほどく、わたし、あなた、心の襞・・・。
さまざまなキーワードを広げつつ、共創・共在を育む出会いやきっかけというニュアンスをどううまく表せるか考えた結果、展覧会のタイトルは「happeninng.」に決定。
参加者との間に何かが起きる、その場へのお誘いとしてDMも作成。「happening.」とだけ書かれたシンプルなカードに、各々自由に書き足したり染めたりと加工を施し、この場に招きたい、かかわり合いたいひとびとに手渡した。
また、展覧会の特設サイトを立ち上げ、会場で出会う感覚や出来事を予感させるビジュアルやテキストも検討していった。

会場は、全員のやりたいことや空間条件を踏まえて、高田馬場にあるケーススタディスタジオ「BaBaBa」に決定。会期は2月11日(金・祝)〜13日(日)となった。
会場が決まると、空間構成の相談も本格化。メンバーからのアイディアをもとにナビゲーターの岡村が中心となり、墨で染めた不織布をつかった空間を模索していく。
新型コロナウイルスの状況が気になりながらも、着々と展覧会の準備は進んだ。

2月9日、不安と期待が入り交じるなか、あっという間に搬入日。
メンバーの多くはオープン間際まで悩み、相談し、手を動かしていた。

<クリエーションの過程>
1月10日(月) 【全体】進捗共有・作業日 @ROOM302
1月16日(日) 【全体】進捗共有・作業日 @ROOM302
1月17日(月) 作業場オープン日 @ROOM302
1月24日(月) 【全体】共有回 @Zoom
1月27日(木) 空間構成の相談 @Zoom
2月1日(火) 作業場オープン日 @ROOM302
2月2日(水) 作業場オープン日 @ROOM302
2月5日(土) 会場下見 @BaBaBa
2月6日(日) 【全体】リハーサル @ROOM302
2月7日(月) 作業場オープン日 @ROOM302
2月9日(水)〜10日(木) 【全体】搬入・設営 @BaBaBa
※ほかにも共創チームや個人間のやりとり多数

text=阿部健一、齋藤優衣

写真:木村和博、阿部健一(2枚目)、嘉原妙(5・9枚目)