2019.2.24 (日)

第12回

場所:パズル浅草橋

「現在地」を共有する

1/6

前回の振り返りから早くも3日後に迎えた報告会。活動日に聞いた曲やゲストに迎えたミュージシャンの曲から構成されたプレイリストをBGMに流しつつ、報告がスタートした。
まずは大内伸輔がスタディの概要を説明。続けて清宮陵一が、第1回に行った音楽史、音楽メディア年表のなかに「人生の一曲」を貼り付けるワークを解説し、会場の人たちも参加してほしいと呼びかけ、付箋を配布。曲名と作曲年を書き込み、各々壁の年表に貼っていった。クラシックからロックまで、さまざまな曲名が並んだが、話を聞いてみると、自分が最初に買ったCDやレコードを挙げている人が多い様子だった。

次に、前回検討したように「プレイヤー―それをサポートする人」を縦軸、「経済活動―社会関係(ソーシャル)活動」を横軸とした四象限の表に、各回のゲストやメンバーがどこに位置しているのかをプロットすることで、これまでの活動を紹介していく。
第2回の和田永さんは音楽を奏でるプレイヤーであり、社会関係活動も行っていること、第3回の宮内俊樹さん、杉原環樹さんはともに社会経済活動のほうへ動きつつある、動きたいと思っていること、第4回の安澤太郎さんは経済活動としてイベントを行っており、同時にミュージシャンをサポートする立場でもあること、第5回の蓮沼執太さんは全体の真ん中あたりに位置するがプレイヤー寄りであることが語られた。また、第6回のブルース・イケダさんは経済活動寄りであるが場合によってはソーシャルにもなること、第7回の飯石藍さんは公共の場所を開いていくための仕事をしていることから、ソーシャル活動寄りであること、白勢竜彦さんは経済活動でもソーシャルでもあり、「今後を考えたときにとても重要な役割だと思っている」と清宮が述べたこと、第8回の平野敬介さんはサポートする立場でありつつ社会関係活動寄りであること、そして第10回のzAkさんはさまざまな関係をつないでいく存在なので真ん中にいること――。プロットをしながら振り返ることで、各ゲストの現在位置がより明確になっていった。
加えてメンバーからは、「自分の知っている音楽が狭かったと感じた。もっと身近に掘り下げることのできる体験があると思った」「ブルース・イケダさんがおっしゃっていた“キャッチー・アンド・コア”、コアなものを社会につなげる姿勢が大事だと思う」「もともと音楽のプレイヤーで、いまは研究者という立場だが、社会関係活動のほうに飛び抜けていきたい」「ソーシャルと経済は両極ではないことに気づいた」
などの感想があがった。
各回ジャンルの異なるゲストを迎え、会場も都度移動しながら、「東京から聴こえてくる音楽」と向き合った半年間。一つの方向に留まらず、思考を続けたことで見えてきたものが言語化されていくような報告会となった。

Text=高橋創一 Photo=川瀬一絵