東京プロジェクト
スタディとは?

Tokyo Art Research Lab「思考と技術と対話の学校」で展開する、
アートプロジェクトの核をつくるための実践です。

“東京で何かを「つくる」としたら”という投げかけのもと、
ナビゲーターが参加者と共にチームをつくり、
スタディ(勉強、調査、研究、試作)を重ねます。

2018年度は、アーティスト、ディレクター、プロジェクトの事務局など、
関心や属性の異なる5組の「つくり手」がナビゲーターを担当。
それぞれのスタディには、アーツカウンシル東京のプログラムオフィサーが伴走し、
学びのサポートをしました。

このウェブサイトは、それぞれのスタディがどのように
「何かをつくる手前の時間」を過ごしたのかを記録するものです。
何を、誰と、どのように向き合ったのか。
スタディの活動と、同時期に並走するナビゲーターたちの創作活動に目を向けます。

そのプロセスや、そこで生まれたことばや手法を蓄積する素材庫は、
いつかの誰かの「つくる」ヒントになるかもしれません。

わからなさ、複雑さ、そしてときに遠回りすることを大事にしながら
予定調和に陥らない「つくる時間」に身を置く実験を、
ぜひ追体験してみてください。

東京プロジェクトスタディ:7つの特徴はこちら

2019年度のスタディについて詳しくはこちら

開催概要


Tokyo Art Research Lab (TARL)

アートプロジェクトを実践する人々にひらかれ、共につくりあげる学びのプログラムです。
人材の育成、現場の課題に応じたスキルの開発、資料の提供やアーカイブなどを通じ、
社会におけるアートプロジェクトの可能性を広げることを目指しています。
https://tarl.jp

「東京プロジェクトスタディ」ウェブチーム

編集:川村庸子、高橋創一
ウェブディレクション:萩原俊矢
ウェブサイトデザイン:井山桂一(GRANDBASE inc.)
プログラミング:萩原俊矢、多田ひと美(GRANDBASE inc.)
制作アシスタント:岡野恵未子(アーツカウンシル東京)
企画統括:坂本有理(アーツカウンシル東京)

2018

「東京でつくる」ということ

前提を問う、ことばにする、自分の芯に気づく

物事に向き合うときや他者と出会うときの、
自分の思考の「軸」や「態度」を捉え直す思考実験の場を立ち上げます。

東京でつくる必然性とは何か。「東京でつくること」を入口に、
参加者それぞれが抱えている課題や関心を軸に徹底的に対話し、
議論を生み出す方法を身体化していく試みです。

芸術文化に携わるなかで、大事だと分かっていても、
なかなか日常的に話せない「前提を問う」こと。
一心に考え、聴き、言葉にすることを繰り返し、他者と共有していくことは、
ともすれば日々のタスクに追われておざなりになりがちです。

いま一度、「つくること」を捉え直したい。
さまざまな背景を持つ参加者と共に、それぞれの考えの違いに戸惑い、
思考のゆらぎを感じながら、繰り返し議論を進めることで「つくる姿勢」の体幹を鍛えます。

ナビゲーターメッセージはこちら

ナビゲーター

石神夏希(劇作家/ペピン結構設計/NPO法人場所と物語 理事長/The CAVE 取締役)

メンバー

阿部健一(演劇活性化団体uni 主宰・演出、大学院生)、五十嵐春香(児童発達支援センター指導員)、石井美加(会社員)、大間知賢哉(俳優)、木村佳菜子(大学4年生)、小林大悟(美術作家)、斉島明(会社員)、RuS(医療従事者)、新堀学(建築家)、高須賀真之(劇評)、中田森也(個人事業主)、前田安紀(TAMA映画フォーラム実行委員)
※2018年度時点

スタディマネージャー

嘉原妙(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

2018.9

9.22(土)

第1回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

「東京」で「つくる」を考えるために

1/3

「東京でつくる」という大きなテーマに触れるために、抽象度を上げて言葉を交わすこのスタディ。初回はまずインタビュー形式の自己紹介を通し、各自の抱えるモヤモヤや関心を皆で共有する場をつくった。それと同時に、毎回のディスカッションを経て次回までにエッセイを1本必ず執筆することに。ディスカッションと執筆を往復しながら「東京でつくる」を考える時間が始まった。

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「東京でつくる」ってことは「東京をこわす」と何か密接に関わってる気がする。でもなんか、我々の内側に眠っているこじらせた「リトル東京」を壊すことが、「東京でつくる」ことにつながる気がする。

「答えを出すことが大切ではない」と言われても、疑問を出し合える場がみつからない。疑問の「答え」や「正解」を教えてほしいのではなくて、疑問を共有して疑問から出発できる人たちに会いたいのかもしれない。

2018.10

10.26(金)

第2回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

日本から、東京から離れた場所で

1/5

「日本から離れてつくる」をテーマに掲げたこの回は、ベルリン在住の俳優、井上知子さんをゲストに迎えた。東京に活動のベースを移すことを検討している井上さんは、日本から離れているからこそ見えていることを語り、それを受けて後半では「東京のことが好きですか?」という問いに対して議論。「呼び戻されるような形で東京に行くことになった」という井上さんとの対話によって、普段と違う角度から東京を考えることになった。

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心理学に「コントロール感」という概念がある。自身の意思決定が対象に影響を及ぼすことができると感じるかどうか、という類の意味だ。少なくともスタディに参加している人の多くは、私を含めて東京に対するコントロール感が弱いといえる。

A:つくるとき「見えないもの」とどう関わるか
B:自分が東京、または日本を出ていく可能性
C:“おそれ”(怖れ/恐れ/畏れ)

B<A<C=ぐちゃぐちゃ。まぜる。

2018.11

11.16(金)

第3回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

東京/地方で「つくる」意味

1/5

城崎国際アートセンター(KIAC)プログラムディレクターの吉田雄一郎さんと、山山アートセンター主宰・美術家のイシワタマリさんをゲストに迎え、「ここでつくる/ここではないどこかでつくる」をテーマに「東京でつくる」と「東京ではない場所でつくる」について言葉を交わした。「なぜ東京でつくる必然性があるのか?」といった問いに対してディスカッションを重ね、地方にいながら東京とつながっていることが見えていった。

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物語はいつだって個人的なものだ。個人的でしかあり得ない。

「東京でつくる」ことは、その<日常>とそこでの「近代人」的な生き方の強制の双方において「東京をつくる」ことへと転換してしまう。そのフレームを意識せずに行われる「つくる」行為は、それがどういう意図で誰に向けられたものであるにせよ、「東京」という状態の強化、持続へ加担することになる。

ただ、パーソナルで心理的なことを起点に設定し、それを全体として行ってしまうと、「東京」と「つくる」の色んなことが個人事に回収されるというか、全くの「それぞれ論」になるというか、そんなことをちょっと危ぶんでしまう。

最近、情報へのささやかな反抗を思いついた。それは毎晩寝る前に絵本を1冊読むこと。

「東京」という言葉を使って誰かと話すときに、言葉のもつイメージがどんどんしぼんでいっているような気がしている。東京が経済的に貧しくなる、という話とは別の意味で、言葉が痩せていっているような。私の杞憂だったら、いいんだけど。

ゆっくりと動く車窓から“見えすぎてしまう”このまちの細部――退屈さや不格好さや間の抜けた優しさは、東京もまた「東京」ではなく、そこらへんにあるただのまちなんだ、と教えてくれる気がする。

2018.12

12.15(土)

第4回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

戸惑いながら、共同で「つくる」

1/9

これまでディスカッションとエッセイの執筆を重ねてきたが、今回は映像の撮影に取り組むことに。ゲストにNPO法人記録と表現とメディアのための組織[remo]のメンバーである久保田テツさんを迎え、ルールを守りながら二度撮影を行い、終了後に各自の作品を鑑賞。映像を見ながら、「なんでもない場所に愛着を持った」「普段なら擦れ違う人とコミュニケーションできそうな感じが起こった」などの感想を言い合った。

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話を聞かせてくれた男性は、そもそもご先祖様はどうしてあんなところに住み始めたんだろうなと問うた。

前々回あたりから、自分の「東京に関する肌感覚」が信頼できなくなってきた。東京がどうこう以前に、数多の人間の中でたまたま、私という一個体が傷つきやすく「生き下手」だった、それだけなのではないかと思ったのだ。

ふと陸軍と「東京」が似ているなと思ってしまった。

2018.12.22(土)

同時期に展開された石神夏希のプロジェクト

東京ステイ「ピルグリム」実験

「東京ステイ」は「ステイ(滞在体験)」を通じて東京に眠る物語を見つけ、表現し、活動を実践する人々と連携、協働するプロジェクト。「ピルグリム(巡礼)」は、ある「指令」に従い、通常の何倍もの時間をかけて目的地に辿り着くことで、東京の日常と出会い直すまち歩きプログラム。この日は「さかいめ」をキーワードに、江戸川公園内の神田上水の堰があった場所からスタートし、王子電気軌道のターミナル「王子駅」をゴールに設定。スタディメンバー3名が参加した。

2019.1

2019.1.9(水)

同時期に展開された石神夏希のプロジェクト

東京ステイ ダイアログオンサイトvol.1
「東京の記憶と断面」

石神が理事長を務めるNPO法人「場所と物語」のメンバーによって、毎回テーマと顔ぶれを変え、それぞれの立場から見える「東京/ステイ」を紐解いていくトークシリーズ「ダイアログオンサイト」。初回は「東京の記憶と断面」をテーマとし、トークの前に「ピルグリム」も実施された。レポートの執筆はスタディメンバーの五十嵐春香と大間知賢哉が担当した。

Photo=黒羽政士

ウェブサイト:東京ステイ ダイアログオンサイトvol.1「東京の記憶と断面」

登壇者:林厚見、林千晶、神本豊秋

2019.1.15(火)

同時期に展開された石神夏希のプロジェクト

東京ステイダイアログオンサイトvol.2
「まちを読み解くまなざし」

「東京/ステイ」を紐解くトークシリーズ、第二弾。メディア的、編集的視点からまちを見る、「まちを読み解くまなざし」をテーマとした。前回に引き続き、トークのレポートをスタディメンバーの高須賀真之が執筆した。

Photo=黒羽政士

ウェブサイト:東京ステイダイアログオンサイトvol.2「まちを読み解くまなざし」

登壇者:今田素子、及川卓也、小松平佳

1.19(土)

第5回

場所:メンバー阿部健一宅(東京都練馬区)

プライベートを語る、聞くこと

1/5

メンバーのひとり、阿部健一の自宅にて行った今回のスタディ。「東京村に残った長男坊」だと自分を説明する阿部は、地域を取材して、そこで聞いたエピソードを元に演劇作品をつくり、その地域で上演するプロジェクトを行っている。そのうえで、具体性を超えてどのように外部と共有できるものにしていけるかを考えていると語る阿部の話を受けて、プライベートを公に開いていくなかで大事なこととは何かなどが議論された。

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消えてしまったものたちの記憶も含めてなにかを共有する地点として、東京を立ち上げることはできるんじゃないか。

東京へのつかみようのない違和感に抗うのは同じ勢いで即答するのではなく、2020年を区切りとしない、ゆっくりと歩む姿勢をとることが必要なのではないかと思いはじめた。

わたしが「場所と物語」という活動をしているのは、「どこで生きてどこで死ぬことになっても面白がれる」すべを、誰よりもわたし自身が必要としているからなのだろう。そしてそれが、似たような生きかたを(選ぶと選ばざるとにかかわらず)している人たちに届くといいな、と思っている。

これを書き上げてから、Eに会いに行こうと思っている。

2019.2

2.8(金)

第6回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

報告の形式の「前提を問う」

1/6

報告会を目前に、他者に「報告」することに抵抗を感じるというメンバーの声を受け、メール上で議論を重ねた。その結果、約半年間のプロセスをどのように立ち上がらせられるかに焦点を当て、「東京でつくる」にまつわる質問をし、「YES」か「NO」で回答、その理由をディスカッションするという方式を採用。予行演習として、事前に用意してきたいくつかの質問にメンバーが実際に回答、ディスカッションをした。

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2019.2.23(土)

同時期に展開された石神夏希のプロジェクト

東京ステイ総集編「東京、日常の巡礼」

「東京ステイ」の3年間の総集編として、丸一日かけて都内を移動しながら語り合う「東京、日常の巡礼」を開催。本イベントでは早朝から夜までのあいだに、場所を立ち上げる力を考える「東京の朝ぼらけ」、まち歩きプログラム「ピルグリム―日常の巡礼」、ピルグリムの体験をシェアする「東京の夕暮れ」、スナックの場所性に迫る「スナック東京」、懇親会である「ラブユー東京」という5つのプログラムを順番に実施。スタディメンバー有志も一緒にイベントを体験した。

Photo=黒羽政士

2.24(日)

第7回

場所:パズル浅草橋

「東京でつくる」をめぐるQ&A

1/6

前回の議論や実践を踏まえ、「東京でつくる」にまつわるいくつかの質問を用意。20秒以内にYES/NO(もしくはどちらとも言えない)の席に移動し、それぞれの意見をシェアするという形式で報告を行った。「あなたは東京の一部ですか?」などの問いにメンバーが回答し、各々理由を述べていったが、最後の「このスタディが終わったら東京でつくる/つくらない」という質問には会場にいる全員が参加。多様な意見が上がり、いくつもの「東京でつくる」が見えた報告会となった。

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その後の活動

2019.3

3.22(金)

『「東京でつくる」ということ』完成!

1/1

12名のメンバーが他者と自分自身との対話を通して、逡巡しながらも言葉にすることに挑戦し書き上げたエッセイ集『「東京でつくる」ということ』が完成! 一人5本ずつ、主に各自でテーマを設定し、時にはナビゲーターから投げかけられたテーマを糸口に執筆した全60本のエッセイには、「東京でつくる」ということへの思考の鍛錬とその姿勢が表れている。

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6.17(月)

続・東京でつくるということ

1/1

アートプロジェクトは誰のもので、何を目指すのか。多くの人が現場で直面するこの問いについて、「記述する」ことを通して考えるために、2019年度も「続・東京でつくるということ わたしとアートプロジェクトとの距離を記述する」としてスタディを続けることが決定!

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2027年ミュンスターへの旅

東京で「彫刻」を探り、9年後の芸術祭を目指す

1977年にはじまった「ミュンスター彫刻プロジェクト」は、
日本における芸術祭やアートプロジェクトに多くの影響を与えたと言っても過言ではありません。

10年おきに開催される次回は、9年後の2027年。
その第6回ミュンスター彫刻プロジェクトへの招聘を目指して、居間 theaterが準備をはじめました。

ミュンスターをはじめとするヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタといった
国際的な芸術祭に関わる多彩なゲストとともに、ミュンスター以前の美術やパフォーマンスの歴史、
またミュンスター以後の美術やパフォーマンスの変化を辿ることで、
2027年のミュンスターにふさわしいプロジェクトの構造を設計していきます。

それは、美術やパフォーマンスのための場や空間の歴史と変化を辿ることにもなります。
そして、その試演や実験などのスタディを、まずはこの東京で実行していきます。

ナビゲーターメッセージはこちら

ナビゲーター

居間 theater[東彩織、稲継美保、宮武亜季、山崎朋](パフォーマンスプロジェクト)

佐藤慎也(プロジェクト構造設計/建築家/日本大学理工学部建築学科教授)

メンバー

青木祥子(NPO職員・役者・パフォーマー)、小笠舞穂(会社員・建築設計)、関恵理子(NPO職員)、田中麻未也(大学職員・建築学科)、西島慧子(大学職員・建築学科・アートマネジメント)、プルサコワありな(アートベース・リサーチ)

記録

加藤甫(写真家)
堀切梨奈子(日本大学助手)

スタディマネージャー

坂本有理(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー/「思考と技術と対話の学校」教頭)

2018.9

9.14(金)

第1回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ミュンスターへの傾向と対策

1/8

2027年に開催するミュンスター彫刻プロジェクトへの招聘を目指す。大きな目標を掲げてはじまった初回は、参加者の自己紹介の後、ナビゲーターのひとり、佐藤慎也によるレクチャー「ミュンスター彫刻プロジェクトのアーカイブからみる傾向と対策」が行なわれた。10年スパンで開催していることや、なぜ「彫刻」という言葉がタイトルについているのかなどが議題に上がり、侃々諤々、意見を交わしあう時間となった。

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なぜ「彫刻(sculputure)」という言葉がプロジェクトのタイトルについているんだろう。

ミュンスター彫刻プロジェクトは無料でみることができるから、作品のエリアが区分されることもなく、これを目当てできた人がそうでない人と見ることや、目当てじゃなかった人がたまたま作品に出会えたりする。

過去のミュンスター彫刻プロジェクトの作品で現存しているものは、誰が維持管理しているんだろう。

2018.9.15(土)

同時期に行われた居間 theaterのクリエイション

建築の葬式「5号館を聴く」

新校舎建設に伴い解体が決まった日本大学理工学部駿河台校舎5号館。この校舎の各所に宿る建築の声に耳を傾け、建築に触れ、その歩みを知り、想いを馳せる作品。参加者はそこかしこから聞こえてくる"建築の声"とテキストに記された"設計者の言葉"を頼りに、その校舎に関する出来事や想いを追体験した。制作過程では、モノへの接し方や対峙の仕方、または対峙せずともモノと共存する方法や体験の共有などについても思考を巡らせたという。

Photo=鈴木さや香

会場:日本大学理工学部駿河台校舎5号館
ウェブサイト:建築の葬式
企画・制作:居間theater、5号館の声:居間theater+佐藤慎也

9.17(月)

第2回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ミュンスターについて学ぶ

1/6

ミュンスター彫刻プロジェクトとは何か。前回に引き続きこの問いに向き合い、佐藤慎也による「ミュンスター彫刻プロジェクトのアーカイブからみる傾向と対策」の続きと、美術ジャーナリスト・村田真さんを迎えての「ミュンスター彫刻プロジェクトについて」という2本立てのレクチャーを開催。しかし終盤、村田さんから「傾向と対策を考えても仕方がないと思う」との発言が……!

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傾向と対策を考えても仕方がない。

大地の芸術祭の作品を意識的に9年おきにみてみると、3年おきでは見えない違いが見えてきた。蓄積された作品と比較する面白さがある。

作品よりも、芸術祭について考えたい。

今、新しいと思っていても、月日を重ねると新しくなくなる。表現や時間の重ね方を考えていく必要がある。

「ぼんやりしてる領域」のことをみんなで話すっていうのはどう? もちろんここまでのレクチャー踏まえて、参加者にも、ぼんやりしてることを話してもらおう。なんかそれぞれの強い主張とか、他の人より詳しいこととかを話し合いたいとは思わない。

そろそろ、そういうほんとに踏み込んだ話しようぜ!

2018.10

10.21(日)

第3回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ぼんやり、もやもやと話す3時間

1/5

ナビゲーターの稲継美保(居間theater)の投げかけにより、「ぼんやりと思うこと」を話してみることに。「記録」「美術館」「場所」「パフォーマンス」「彫刻」というテーマに関して、みんなでぼんやり、もやもやと言葉を交わした。「これまでミュンスター彫刻プロジェクトについてのレクチャーを続けてきたけれど、そもそも“彫刻”って一体何だろう?」とスタディの根本に触れるような問いかけも。

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現状のミュンスター彫刻プロジェクトは「祝祭的なアートプロジェクト」だけど、いまの東京をみるとそうじゃないあり方も考えられそう。「日常的なアートプロジェクト」「アートの拠点を作り出す活動」「家を使ったアートの拠点」みたいなものをミュンスターにどうやって持っていくのかを考えたほうがいいかもしれない。

もしかしたら、モニュメントとしての彫刻を、彫刻とは思っていないかもしれない。

日本における公共彫刻は「こと」をつくっている。日本は、公共空間におけるものに対する意識が低いのかもしれない。

書籍『彫刻の問題』と小田原のどかさんからの資料を読んだら、「めざせミュンスター!」なんていいながら、肝心のスカルプチュアについてまったくの無知で泣きそうになりました(笑)。

ミュンスターではなく、ここにきて「彫刻」に強い問題意識をもった小田原のどかさんと繋がるのは、とてもおもしろい展開だと思います。

2018.11

2018.11.8(木)-11(日)

同時期に行われた居間 theaterのクリエイション

境界を越えて~アジアシリーズのこれまでとこれから~

居間 theaterと佐藤慎也が初めて劇場で展開した作品。同時代の舞台芸術を発信する「フェスティバル/トーキョー」にて上演された過去4年分のアーカイブ映像のための空間を設え、来場者は自分の好みやペースに合わせて映像を楽しんだ。作品の残し方と残されたモノや情報の扱い方について、また、普段劇場という公共施設を通過してしまう人たちをも吸い込むような場のあり方について考えるきっかけにもなった。会場設営には実践の場のひとつとして、スタディメンバーも参加した。

会場:東京芸術劇場シアターイースト
ウェブサイト:アジアシリーズ vol.5 トランス・フィールド 境界を越えて~アジアシリーズのこれまでとこれから~
会場構成・演出:居間theater+佐藤慎也

11.23(金·祝)

第4回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

日本における彫刻について学ぶ

1/5

「彫刻とは何か」を問い直す。それが活動の源にあると言う彫刻家の小田原のどかさんをゲストに迎えた。歴史や教育、そしてフィギュアに至るまでさまざまな側面から日本における彫刻についてのレクチャーが行なわれた。それを受けたディスカッションではパフォーマンスや絵画など他分野との違いなどが話題に挙がり、「“sculpture”と“彫刻”は、別なものとして考えたほうがいい」という重要な指摘がなされた。

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「彫刻」の概念や定義の更新されていないことは、現状との大きな隔たりがあると思った。その時、ミュンスターを目指すにあたっての彫刻とは何かを押さえないといけない。ミュンスターのスカルプチャーの定義も考えてみたい。

東京でちゃんと作品を作った上で、ミュンスターに行こう。

ミュンスター彫刻プロジェクトに行くよりも、なんでもいいからいい作品をつくりたい!

東京藝大に彫刻科ができた1887年から、実は『東京彫刻計画』というアートプロジェクトがはじまっていた。それから10年おきに、都内のまちなかに彫刻が追加されている。それを見ていくと、彫刻の歴史を辿ることができる。そして、2027年にも同様な芸術祭が行われる、という前提でリサーチして、2027年へ向けたプランを考えるというのはどうだろう。

途中で変わっても構わないけど、最初の設定としてのフィクション。

とりあえず、Google Map をつくろう。

2018.12

2018.12.8(土)-9(日)

同時期に行われた居間 theaterのクリエイション

空想型芸術祭 Fiction 東京/西京

現実の都市・東京と空想の都市・西京。ふたつの都市で同時開催する、「空想で参加する」会期のない芸術祭。居間 theaterがミュンスターを訪れて抱いた「芸術祭」という形式への興味から生まれた地図と音声からなる作品。吾妻橋観光案内所を拠点に、作品ガイドツアーが開催された。公共空間のなかの彫刻や、船や電車といった移動手段など、都市とその要素にも着目した。

ウェブサイト:すみゆめ 空想型芸術祭 Fiction 東京/西京

企画・制作:居間theater+地理人

12.22(土)

第5回

場所:九段下~東京国際フォーラム

フィールドワーク開始!

1/6

実際にまちなかの彫刻を見に行こう! ということで、フィールドワークを実施。「彫刻」という概念の変化や現在の東京の状況が見えるのでは、という狙いから、「1887年から2027年までの10年ごとに『東京彫刻計画』というプロジェクトが開かれている」というフィクションがつくられ、それとまちなかの彫刻を重ねながらリサーチを行った。レクチャー後の身体には次から次へと疑問が生まれ、会話は尽きない。

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これまで部屋の中で考えてきた彫刻が、実際に公共空間に設置されているのを見て回るのはとても面白い、かつ重要なリサーチ。みんなに体験してもらいたい。

工部美術学校の彫刻科の最初で最後の卒業生、主席の大熊氏廣がこの前見た岩崎弥太郎像を作ってて、銅像建設に精力的に関わっていたようです。

次は、上野、本郷東大あたりかな?

この大きな台座が、江戸時代が終わった直後につくられたと思うと、当時の技術力はすごい。

台座に乗っている像は、見上げた時にそれと空しかみえない。高いことが大事なのでは。

美術は圧倒的に残る。建築より残る。

10年おきに間引いで作品をみていくと、時代ごとの違いがみえてくる。

2019.1

1.17(木)

第6回

場所:上野~水道橋

上野・水道橋の彫刻31体を見る

1/6

『西郷隆盛像』を皮切りに日常からちょっと離れて、まちなかの彫刻31体をじっくり眺めては、感想を交わす一同。戦争の影響や裸体像の問題など、小田原のどかさん(彫刻家)のレクチャーで学んだことが繰り返し出てくるやりとりだった。フィールドワーク後は、報告会を「めっちゃ楽しいプレゼン」にするために、それぞれが大事にしたいことを話し合った。

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こんなに上野の彫刻をじっくりみたのは初めて。

銅像自体がどうこうよりも、銅像があればまちを歩く理由になる。

『東京彫刻計画』の売りは何か?

ミュンスター彫刻プロジェクトに対抗して『東京彫刻計画』が出てきたわけではない。ミュンスターを調べた結果、彫刻に興味が出て、小田原のどかさんの話をきっかけに東京の彫刻を集めるようになり、無作為には集めきれないので、『東京彫刻計画』というフィクションを重ねた。

報告会では、これまで歩んできたプロセスを理解してもらった上で、応援し続けてもらうために、もうひとつ、ショーアップしよう。

1.19(土)

第7回

場所:パズル浅草橋

報告会に向けてのミーティング

1/5

いよいよ来月に迫ってきた報告会。これまでのフィールドワークを振り返りつつ、どのような内容や形式で発表を行うか意見を交わした。振り返るとこれまでの活動が3つの時期に分けられることを確認し、発表もオーソドックスなプレゼン形式ではなく、パフォーマンス仕立てにすることに。ミュンスター彫刻プロジェクトをきっかけに芽生えた3つの興味をどのように共有するか、その方法について話し合われた。

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リサーチでは、普段日常的に目に入っていた彫刻が、実は認識されず見えていなかったという発見があった。

追体験するのは、どこの部分?

ミュンスター彫刻プロジェクトという一つの興味から、このスタディを通して、「彫刻という概念の拡張」と「東京の彫刻やパブリックアート」というふたつの興味を得てきたのではないか。

1.27(日)

第8回

場所:お台場〜芝浦

3回のフィールドワークから見えたこと

1/6

観光名所にもなっている『実物大ユニコーンガンダム立像』をはじめ、お台場から芝浦にかけて17体の彫刻を見た。これまで巡ったエリアと違い、商業エリアと居住エリアに設置された彫刻の特徴について語り合う。『東京彫刻計画』というフィクションを用いることによって、新たに見えてくるものがあることを実感。またもや収穫と課題は同じくらい生まれた。

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彫刻ありきでいく感覚。次につくる居間 theaterの作品の切り口は何か。彫刻の拡張としてみたときの要素や条件。

根本的に彫刻を考えた時、ものよりも、時間や空間を考えることになると思う。

共有するなら、体験として共有したくなってしまう。

ありのままをみせることに興味はないけど、パフォーマンスを見せることに興味はある。

めっちゃ稽古したい。

全員が順番に話すとスタディの流れにもなり、ミュンスターと東京のプレゼンにもなっている。さらに、それぞれが、それぞれのテンションで話すと、いろんな温度が混ざっている物語になるのでは。

2019.2

2.24(日)

第9回

場所:パズル浅草橋

パフォーマンス仕立てで大団円

1/8

ナビゲーター、メンバー、スタディマネージャー全員が参加してのパフォーマンスを行った報告会。活動がはじまったきっかけから始まり、各活動日の様子をさまざまな視点で演じ、最終的にはこのスタディはひとつの答えを導き出してはいない、それぞれが思考していると述べた上で、「可能性は無限大。刮目せよ! 旅はまだはじまったばかりなのである」というセリフで締めくくられた。

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その後の活動

2019.6

6.17(月)

『東京彫刻計画』スタート!

1/1

「『東京彫刻計画』という芸術祭が、10年に1度東京で行われている」というフィクションを使って、わたしたちの周りにあるさまざまな彫刻をリサーチする。大きな時間の流れで街を見るとき、街と作品とわたしたちの関係をどのように結ぶことができるのか。2年目は、最終的に小規模の作品創作を目指す。

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Music For A Space

東京から聴こえてくる音楽

2010年代に入り、音楽を取り巻く環境や産業構造は大きな転換期にあります。
同時に、既存の音楽体験や聴取環境を越えていくような、さまざまな模索がはじまっています。
公共空間で展開するアートプロジェクトでは、昨今、音楽の可能性を拡張する試みがまちなかを舞台に行われています。

パッケージメディアが必要とされなくなった時代の、まだ見ぬ新たなメディウムとは?
ポップミュージックとパブリックサウンドのハイブリッドなあり方とは?
音楽家だけがもつ、社会を可聴化する能力とは?

音楽ビジネスとアートプロジェクトを往来し続ける清宮陵一をナビゲーターに、
音楽シーンの一線で活躍する専門家やアーティストとのディスカッションを通じて、音楽の現在点と座標軸を探り、
「これまでと違う仕組みの音楽の有り様をつくる」ことに挑みます。

ナビゲーターメッセージはこちら

ナビゲーター

清宮陵一(VINYLSOYUZ LLC 代表/NPO法人トッピングイースト 理事長)

メンバー

蟻川小百合(芸術祭事務局スタッフ)、川端渉(ヒューマンインターフェース研究者、電子楽器製作者[電気・電子・プログラム技術者]、アーティスト)、桐明紀子(大学博物館勤務)、河野麻衣子(コンサルタント)、鈴木美恵(自営業)、高田和音(学生)、村瀬朋桂(WEBデザイナー)、山崎陽(作曲家(フリー)、婚礼PA、アーティスト警備育学研究科博士後期課程)、山下直弥(大学院生)

ライター

杉原環樹(ライター、インタビュアー)
名小路浩志郎(宮内俊樹)(音楽ライター)

スタディマネージャー

大内伸輔(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

2018.9

9.19(水)

第1回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

音楽史と個人史を交差させる

1/5

このスタディでは「これまでと違う仕組みの音楽の有り様をつくる」ことに半年間挑戦していく。さまざまなバックグラウンドを持つメンバーの顔合わせとなった初回は「人生で最も影響を受けた曲」「最近よく聞く曲」を一曲ずつ紹介し、音楽史、音楽メディアの変遷に関する年表のなかにそれをプロットすることで、個人的な関心を歴史のなかに位置づけるワークを行った。加えて、音楽を取り巻く現在の環境についての話題も。

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聴いてきた音楽が何かということは、生い立ちに近いくらい人間性が出る。

まち場だけが公共なんじゃなくて、音楽に出会う出会い方で言えば、デジタルもひとつの公共。

いま、あまりにも音楽がありすぎて、何を聴いていいかわからないなかで、人の話、その人の人となりとあわせて音楽を聴くと音楽が立ってくる良い経験になる。

2018.10

10.12(金)

第2回

場所:BUCKLE KÔBÔ

参加型プロジェクトを紐解く

1/6

大田区の京浜島を会場にした『鉄工島フェス』を準備している最中のミュージシャンの和田永さんのもとを訪ねた一同。和田さんが制作したオリジナル楽器の演奏を体験し、これまでの経歴についてお話を伺った。特に『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』で参加型プロジェクトに取り組むようになってから考えていることや、「共同体」の運営についてどのように捉えているかなど、示唆に富む話があった。

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プロジェクトの進み方は、ジャズのセッションに似ていることを感じました。見ず知らず人達のゆらぎがある中で、ふっとした時の一体感。その時々に表れるタイミングも異なり、ゆらぎがあるからこそ波長があった時のグルーヴ感があると思いました。

音楽を聴いて「感動」するとは、感情が振動することだ。そして、音もまた振動であり、そして、振動とは生きている証、つまりは「生命」の証とも考えられる。

音あるいは音楽というものは「作品」という客体ではなく、人やものと結びつくことで社会をつくり出している行為体として捉えないといけない。

新しいコミュニティの音楽が生まれるところに、私は携わっていきたいのかもしれない。

10.25(木)

第3回

場所:Yahoo! JAPAN LODGE

ふたりのライターが見つめるもの

1/6

このスタディに伴走しているふたりのライター、宮内俊樹さんと杉原環樹さんから、ライターになった経緯やどのように仕事に向き合っているか、これから行ってみたいことは何かといった話を聞いた。後半は「音楽と私の現在点」をマッピングするワークに取り組み、自身の立ち位置を言葉に落とし込むことで課題を明確にした。

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アートやカルチャー、クロスボーダーで音楽を解放していくとき、いちばん最初にできるアプローチは仲間を探して対話をすること。それはもっともシンプルでもっとも有効的なアプローチだと思う。

自分と音楽の接点ってこんなに狭いのかと改めて実感しつつも、自分では音楽として認識してないことも、実は自分の地図に入ってくる可能性を感じました。

ジャンルという枠組みにとらわれず、より多くの人々と対話し、一点ではなく違う見方ができるようになりたいと思いました。

2018.11

2018年11月4日(日)

同時期に行われた清宮陵一の活動

鉄工島フェス 2018

2017年から大田区のモノづくりの最前線である京浜島を会場に開催されている『鉄工島フェス』は、さまざなまジャンルのミュージシャンのライブやアーティストの展示が行われるフェスティバル。第2回でゲストにお招きした和田永が立ち上げ、清宮陵一が企画運営に携わってきた『エレクトロニコス・ファンタスティコス!』も参加プロジェクトのひとつ。京浜島の職人たちとのコラボレーションによる滞在制作型プロジェクトを行った。

ウェブサイト:鉄工島フェス 2018

11.14(水)

第4回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

フェスという形式の未来像

1/6

2006年から2018年まで開催された野外フェスティバル『TAICOCLUB』をオーガナイズしてきた安澤太郎さんをゲストに迎え、これまで運営してきたなかで大事にしてきたことや、今後の目論見を伺った。フェスというものが消費する場になっているのでは、と疑問を感じたことから、これからは「仕組み」と「場所」をつくっていく、という決意が聞かれた。また、「音楽に関わる役割」をマッピングするワークも行った。

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「いま」という時間と空間を大切にする考え方。こうした生活態度は日常空間にも色濃く反映され、日本の音楽産業がパッケージで特化することにも反映されているのかもしれない。

「時勢を読むセンス」というのは、個人の違和感やズレを起点にしたリアリティを獲得し、他者とコミュニティで分かち合うことで価値を相対化し、そしてクリエイティブに形にしていくことで人々の心をゆさぶるものにつながる。

安澤さんの新しい活動は、「自分たちの場所」ができることによって、「閉じている」部分も含む日々の創造と、それらの蓄積が可能になっていくのではないかと感じる。

2018年11月20日(火)

同時期に行われた清宮陵一の活動

BLOOMING EAST リサーチ

BLOOMING EASTは、音楽の枠に留まらない音楽家が東東京エリアで土地の歴史を学びながら取り組むリサーチ型のアートプロジェクト。今回は「東東京で暮らす移民」をテーマに、インド人コミュニティのある西葛西エリアにて、紅茶店やグローサリー店などをリサーチする。テーマに関心を持ったメンバーが参加。リサーチの結果はアーティストとも共有し、次のリサーチへ生かされた。

ウェブサイト:BLOOMING EAST<2018年度>

2018.12

12.18(火)

第5回

場所:HAPPA〜NADiff

音と音楽、美術と音楽の境目

1/6

映画、演劇、ダンスなど、さまざまな分野での作品制作を行い、近年は作曲の手法を応用し、展覧会やプロジェクトも行っているミュージシャンの蓮沼執太さんがゲスト。「音と音楽の境界線を考える」をテーマに、蓮沼さんが過去に行った展覧会『音的』『作曲的』の話などをヒントにその違いについて言葉を交わした。さらに、上目黒から恵比寿まで徒歩で移動しながら、「作曲」に思考のフォーカスをあわせてみるという試みも。

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「composition」の出発点は現実の素材化にある? この直感の確かさは、自分の仕事を通して考えていきたい。

自分自身の聴き方で、街の音は音楽的に感じられ、都会の規則的な街並みは視覚的にリズミカルで壮大な楽譜に見えるし、そういう「音さがし」から感情を抜きにしたらも健康的な音楽が生まれそう。

風、雨音、木の葉がこすれ合う音など自然と調和したものであれば、日々の暮らしの中で私たちは癒され、これは音楽とも呼べるのでは。都市の中ではとがったものが多いので、各自好きな音楽を聴きながら歩いているのかもしれません。

12.19(木)

第6回

場所:みどり荘

広告から公共へ音楽を展開する

1/5

「広告表現における音楽の可能性」をテーマに、クリエイティブスタジオJKD Collective代表取締役社長のブルース・イケダさんをゲストに迎えて話を伺った。ブルースさんのメインの仕事は「ブランデッドミュージックビデオ」「ブランデッドミュージックエクスペリエンス」をつくること。そのなかで考えていることや、現在取り組んでいる公共の場で上質な音楽体験をする機会を増やすための試みなどが語られた。

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自分は無意識のうちに、「公共」のなかにある種のグラデーションを作っていたのだと気がついた。街に溶け込む地味な音楽のあり方も、街中で宣伝という名目で鳴らされる大音量の音楽も、「公共」に関わるものであることに変わりはない。

頻繁に「良質な」という表現が出ていたが、自分にとっての良質な音楽や、良質なコンテンツってなんなのか? と改めて考える場となった。

結局は初期衝動とクリエイティビティこそが音楽を含む芸術表現の源泉であり、それをいかなるアートフォームで表現するかによって、音楽になったりアートになったり、広告になったりもする。

2019.1

2019年1月7日(土)

同時期に行われた清宮陵一の活動

蓮沼執太フィル・ニューイヤーコンサート2019

第5回のゲスト、蓮沼執太率いる蓮沼執太フィルが恵比寿リキッドルームを会場に、6年ぶりにニューイヤーコンサートを行った。主催は清宮陵一が代表を務めるVINYLSOYUZ LLC。チケット販売には、第8回ゲストの白勢竜彦が勤めるPeatixも利用された。蓮沼のコンダクトによって総勢16名のメンバーが新旧の楽曲を交えたステージを展開、新年最初のライブはにぎやかに盛り上がった。

ウェブサイト:蓮沼執太フィル

1.17(木)

第7回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

振り返りながら足元を確認する

1/6

新年最初の活動日はこれまでの振り返りをすることに。ゲストごとに会場を変更してきたことに触れ、ナビゲーターは「東京から聴こえてくる音楽」の「東京」にフォーカスしていきたいと述べ、メンバーからは音楽とどのような関係性を結んでいきたいかが語られた。ほかにも、音楽とアートプロジェクト、音楽以外のフィールドについて、アジアのマーケット、報告会でのアウトプットについてなど、多様な話題があがった。

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ライブ表現を中心に考える音楽が、「公共における音楽」のあり方を拡張させていること。それがビジネスや生業として成り立つのかどうかはまた別の話というか、これから形づくられていく話ということ。

「音」による場づくりにすごく興味があって、それをもっと深く考えるきっかけになった。

きちんとした場所の広さで演奏練習を複数にやっていくと会話せずにもくもく練習する。人と人に割り込むものがなくなる。この割り込みは自分自身にとって、「遊び」という間だ。

1.31(木)

第8回

場所:Peatix Japan

公共空間で音楽を響かせるために

1/5

今回のテーマは「公共空間における音楽の可能性」。Peatix Japanの白勢竜彦さん、公共R不動産の飯石藍さんをゲストに言葉を交わした。白勢さんはこれからPeatix Japanでコミュニティのプラットフォームづくりを強化していこうとしていること、飯石さんは周囲を巻き込んで一緒に楽しめる公共空間の可能性について語った。専門性の異なる立場から「公共と音楽」を俯瞰して考えることのできる時間となった。

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運営側も作品をつくりあげている行為(行為体)と思える。

「人が集まること」は、今後も絶対になくなることのない人の営みだろう。その手助けをするプラットフォームというのは、社会的な可能性が大きいと思った。

日本は「文化」はあるが、「公共」という概念が薄い(あるいは輸入した概念である)のだろうか。逆に日本がもっと文化を大切にする国になるためには、「公共」という概念を浸透させる(あるいは海外との違いを理解する)必要があるのかもしれない。

2019.2

2019年2月10日(日)

同時期に行われた清宮陵一の活動

ほくさい音楽博

清宮陵一が理事長を務めるNPO法人トッピングイースト、東京都、アーツカウンシル東京とで共催してきたプロジェクト。共催以前から、清宮が地域の人々と投げ銭制で実施してきたコンサートから発展したもので、墨田区周辺地域の子どもたちに、世界の楽器に触れてもらい、その歴史を学び、練習を重ね、発表会を行うプログラム。この日は練習を重ねた小学生の発表会のほか、講師によるライブなども行われた。

ウェブサイト:ほくさい音楽博
主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人トッピングイースト

2.13(水)

第9回

場所:TOPPING EAST

オルタナティブという探究心

1/4

今回は国内外さまざまなミュージシャンのライブを企画制作するプロモーター、クリエイティブマンプロダクションの平野敬介さんをゲストに、音楽産業の現場の声を聞いた。平野さんが手掛けるイベント『Alternative Tokyo』の話題を中心に、これまでの経歴や現在音楽を牽引しているもの、“ロックフェス”という場が今後どのように変化するかなど、トピックを横断しながら興行と音楽のかかわり方について思考を巡らせた。

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観客がフェスや音楽に求めるものが、「熱狂」や「ハレの場」というものから、生活や(一緒に訪れた友人や恋人などとの)人間関係を彩る何かへと変化しているのではないか、という符号のようなものを感じさせた。

レコードやフェスといった形にこだわらず、探求心によって変化を起こしていけるような人が必要なのではないか。

東京はいくらでも音楽に出会える環境は整っているし、さらにネットでいくらでも音楽は聴けてしまうから、そのイベントがどういうものかという考えや思想が人を動かすんだなと改めて思いました。

2.14(木)

第10回

場所:ST-ROBO

音楽=魔法の起こる現場

1/6

さまざまなゲストをお呼びしてきたが、最後にお招きしたのはレコーディング・エンジニアやライブでのPA、演劇、パフォーマンスでの音響など、幅広い現場で活動を続けているエンジニアのzAkさん。自身を「全然職人じゃない、呼ばれて演奏するソロプレイヤーに近い」と分析するそのオリジナリティはどこに由来しているのか。「音」「音楽」にどのようなこだわりを持っているのか、zAkさんの所有するスタジオで話を聞いた。

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現場の音とは、公共における音のあり方につながる話だが、その瞬間に流れる音、空気、音と音の共振、それらすべてをあるがままに受け入れるアティテュードであり、アーティストと聴衆といった境界線のない「公界」のように思える。

ある素材の一番生き生きした部分を大胆に拡張させることで、そこに唯一無二の匂いのようなものが生まれるのかもしれない。

PAさんというお仕事が、Place Arrangementの略ではないかと思った。

2.21(木)

第11回

場所:TOPPING EAST

10回の活動を振り返って

1/6

週末に控えた報告会の準備を兼ね、これまでの活動を皆で振り返った。各回どのようなゲストを迎え、どのような話を聞いたか整理しながら、第1回に行った音楽史年表に個人的な思いを持っている曲をプロットしていくワークと、第4回での「音楽に関する役割」を表に位置づけていくワーク、このふたつのワークを報告会でも実施してみることに。またメンバーからは「公共と音楽」について、スタディの対象として面白いジャンルなどの話も出た。

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公共というのは、必ずしもイコール社会、ソーシャルという意味ではない。

設問の意味がわからなかったけれど、ずっとそれは一体どういうことだろうと考え続けたことで、あとになってその問いに対する納得した解答を得ることができた。

かっこよさの純度が高いと、そのものがすごく遠くまで届く強さを持つ。

人の行動に作用する音、音楽をどう捉えるか。その対象とするものはまだまだある。

2.24(日)

第12回

場所:パズル浅草橋

「現在地」を共有する

1/6

いよいよ迎えた報告会。活動日に聞いた曲やゲストに迎えたミュージシャンの曲で構成したプレイリストを流しながら、会場の人を巻き込んで、音楽史、音楽メディア年表のなかに「人生の一曲」を貼り付けるワークを行った。また「プレイヤー―それをサポートする人」を縦軸、「経済活動―社会関係(ソーシャル)活動」を横軸とした表に、ゲストやメンバーがどこに位置しているのかをプロットすることで、活動をまとめていった。

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部屋しかないところから
ラボを建てる

知らないだれかの話を聞きに行く、チームで思考する

ひとつの部屋(=ROOM302)を拠点に、ラボチームの立ち上げを試みます。

「いま」、「東京」で、メンバーそれぞれの関心を持ち寄り、一斉に調べ、徹底的に共有し、可視化するラボです。
部屋に集い、話し合う。部屋を出て、身体を通してリサーチしたことを、また部屋に持ち込み、メンバーとの共有を繰り返します。
はじめは部屋しかありません。メンバー全員でラボの方法や機能づくりにも取り組みます。

リサーチは「ひとの話を聞く」という方法に重点を置いてみることにします。
ある関心事を知ろうとするとき、まずは本や資料にあたり、インターネットの検索から始めることも多いでしょう。
しかし、一歩外へ出て、ひとに話を聞いてみると、自分の予想とは違う言葉や反応が返ってくることがあります。
今までの経験では受け止めきれないことかもしれません。そういった戸惑いを引き受け、身体を通して情報へ触れる方法、
それをだれかと共有することについて繰り返し議論しながら進めていきます。

“いま知りたいことを、より立体的に知るための技術”を、メンバーがそれぞれに開発し、実践していくことを目指します。
そして、このラボから、長い時間をかけた新たな表現やプロジェクトが生まれていくことを期待します。

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ナビゲーター

一般社団法人NOOK(のおく)

瀬尾夏美(アーティスト)

小森はるか(映像作家)

礒﨑未菜(アーティスト)

メンバー

足立靖明(会社員)、国分幹生(不動産開発コンサルタント)、佐藤卓也(エンジニア)、橋本佐枝子(児童養護施設勤務(臨床心理士))、長谷川優貴(お笑い芸人、作家)、八木まどか(会社員)、柳河加奈子(児童厚生員)、ヨネザワエリカ(ライター)

ファシリテーター

小屋竜平

記録・編集

高橋創一(編集者、ライター、校正者)

スタディマネージャー

佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

2018.9

9.23(日)

第1回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

関心の共有から始まる

1/6

「ひとの話を聞く」という方法を用いて、「いま」「東京」でメンバーの関心を持ち寄り、ラボの立ち上げを試みる。そのためにはまず、互いの関心を知ることが肝要だとして、初回は2日間連続での活動となった。自分の問題意識を端的にまとめずに話すことで、さまざまなトピックへ話題がつながっていく。10時間以上をかけて全員の関心を共有することからすべてが始まった。

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自分と他人との間の境界線を自在に引くことができるためにはどういうトレーニングが必要か、ということに関心があります。

「想像力の可能性と限界」について考えたい。

自分の興味の外側を意識したり、辺境のジャンルについて調べたり、そこでしか救われない人の気持ちを考えたりする事には、なんらかの鍵があるように思っています。

トピックに関して興味を持って話す人は多いですが、多くは自分に起こることとして考えることができません。

2018.10

10.14(日)

第2回

場所:東京大空襲・戦災資料センター

被災経験を聞くこと、伝えること

1/6

東京大空襲・戦災資料センターを訪問し、東京大空襲の被災体験をはじめ、さまざまな聞き書きを続けてきた、館長の作家・早乙女勝元さんにどのような想いでこれまで活動を続けてこられたのか、お話を伺った。後半はセンターの主任研究員の社会学者・山本唯人さんを囲んで、被災体験を継承していくことや、センターの資料展示の方法などについて議論を重ねた。

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「きいてしまったからには、このままではすまされぬ」(『東京大空襲』より)という言葉が、早乙女さんが記録と向き合う根本的な姿勢だとわかる。

できれば全く興味のない状態で早乙女さんのお話を聞き、そのあと興味の出た状態で本を読みたかった。宿題のように読むことが失礼な気がした。というか、自然な流れで自分の中に入れたかったと読後に思った。

何かに「出遭ってしまった」「受け取ってしまった」と感じる感受性=器のあるなしで、ひとの人生は大きく変わる。そして、そのように感じ取られ内面に宿った魂は、公私におけるある種の偶発性により発芽し花を咲かせ、うまくいけば実る。

語ること、伝えること、といった表現の枠組みにもちろん関心はありつつも、東京という場所で生きた人々のことを横に置いてはおけない。

2018.11.2(金)〜12.24(月・祝)

同時期に行われたNOOKのクリエイション

立ち上がりの技術vol.3「とある窓」

「窓」という装置を介して、東日本大震災から7年あまりが経過した岩手・宮城・福島の沿岸部の語りと風景を記録した展覧会。「その窓から何が見えていましたか?」という問いかけによって、沿岸部に暮らす人から語られたことをNOOKが聞き書き。そこで綴られた文と、写真家・森田具海による各地の「窓」の写真を展示した。ここで聞き書きを行った際のメソッドが第3回のワークショップでも応用された。

ウェブサイト:【展覧会】立ち上がりの技術vol.3「とある窓」
企画:一般社団法人NOOK

2018.11

11.11(日)

第3回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

他者を通して自分の関心を知る

1/6

「ひとの話を聞く」ためには、具体的に聞きに行く人を想定しなければいけないが、メンバーたちはなかなかそこまで踏み込めない様子。それを受けて、自分の関心事を他者がどのように聞き取ったかを知ることで、俯瞰して考え直すことができる「聞く、語る、編集 ワークショップ」を体験することに。これによって、話を聞きに行きたい人の姿が少し具体的に見えてきたようだった。

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よく考えると「聞きたいこと」というのははっきりしていなくて、どこかしら「面白い話をしてもらいたい」という自分勝手な受け身の姿勢があると思いました。

長期的に考えていくテーマであり、このスタディの時間軸で何かゴールに辿り着くことが適切かわからない。

作品制作プロセスと似たようなことをしているが、なぜそうしているのか。理解の難しい人たち。そこには文化や歴史、倫理の違いがあるはず。

2018.11.24(土)

同時期に行われたスタディ4の活動

オープンラボデイ第1回

何かの目的を持って行うのではなく、参加可能なメンバーたちと互いにおしゃべりをする中で、その日やることを決めたり、または決めずに過ごしたりする放課後的な集い。小屋竜平がファシリテーターを務める。あてどもなく関心のあることや、相手の関心を受けて引き出された自分の興味などについて話し合う場として機能した。参加者は足立靖明、佐藤李青、瀬尾夏美。お笑い、音楽、物語などさまざまな話題について語り合った。

2018.12

12.9(日)

第4回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

ラボを利用して話を聞く

1/5

なかなか「話を聞く」行動に移せないメンバーたち。そこで「聞くに行く」ことについて、改めて全員で考えてみることに。その上で、関心のあるテーマについて図解、解説を行うワークショップに取り組み、普段とは違う角度から自身の関心を見つめ直す機会を設けた。後半は演劇ユニット・Port Bでリサーチを担当する田中沙季さんをゲストに迎え、リサーチを行う上で大事にしていることなどを伺った。

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日常のなかで誰かに(思いもよらなかったことを)聞くことが自然と増えているように思います。

ひとつひとつはとても小さな事象ですが、自分の身体の中に“かたつむりな耳”を持つという感覚は、広く複雑な東京をどのように歩けるのかと考えた時に感じた“どうしようもない途方もなさ”をすこしほぐしてくれている気がしています。

なぜ自分が関心を持つようになるかというと、それは「何か」の中に自分に近い「何か」を感じ取るからだろう。

2018.12.20(木)

同時期に行われたスタディ4の活動

オープンラボデイ第2回

参加者は足立靖明、国分幹生、橋本佐枝子、八木まどか、柳河加奈子、礒﨑未菜、上地里佳、高橋創一。事前に決めていたラボの名称を決めるという課題に取り組み、最終的に「東京かたつむり」(のちに「かたつむり」)に決定。「ひとの話を聞く」というラボのテーマから耳のなかの蝸牛が連想されることや、「かたる、つどう、むかう、リサーチする」という言葉の頭文字を取れば「かたつむり」になることなどが決め手となった。

2018.12.22(土)

同時期に行われた瀬尾夏美の活動

民話ゆうわ座 第六回「民話のなかのじじとばば〜一粒の豆をめぐって〜」

みやぎ民話の会有志による「民話 声の図書室」プロジェクトチームとせんだいメディアテークの協働によって、宮城県の民話の映像・音声資料や採訪活動の記録をまとめるプロジェクト「民話ゆうわ座」。民話語りの記録と採訪時の体験を手がかりに、民話についてのさまざまな問いかけについて、参加者が自由に感想や意見を語り合う場となっている。瀬尾夏美が板書を担当し、民話に関心を持ったメンバーが参加した。

写真提供=せんだいメディアテーク

2019.1

2019.1.11(金)〜2.11(月・祝)

同時期に行われた小森はるか+瀬尾夏美のクリエイション

ほぼ8年感謝祭 あわいの終わり、まちの始まり

アートユニット・小森はるか+瀬尾夏美による2011年以降の制作作品を一挙に公開! せんだいメディアテークでの映像作品上映会に加え、瀬尾夏美個展「あわいゆくころ」(会場:東北リサーチとアートセンター)、「風景から歌」(会場:ギャラリー ターンアラウンド)も同時開催。2月3日(日)には岡田利規さんと濱口竜介さんをゲストに迎え、「テキストを発話すること」をテーマにしたトークイベントがあり、仙台に足を運んだメンバーもいた。

ウェブサイト:ほぼ8年感謝祭 あわいの終わり、まちの始まり
主催:小森はるか+瀬尾夏美

1.13(日)

第5回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

年末年始に「聞いた」ことを持ち寄る

1/5

「普段とは違う時間の過ごし方ができる年末年始に、それぞれの方法で“聞く”を実践してきてほしい」という呼びかけに応え、メンバーが聞いてきたことを話す。加えて、その話をどのように聞いたかをフィールドバックし、もう一度自分は何について話したのかを抽象度を上げて考えてみるという取り組みを行った。ナビゲーターの瀬尾夏美からは「このラボを利用して“聞く”身体のバリエーションを持てればと思う」との言葉も。

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話せば話すほどたくさんの発見と新たな関心事が山のように増えました。かなり面白かったです。しかし、充実した時間に興奮しながらも、これを誰かに伝えることや編集することの難しさも感じました。

語りの中で「話を盛る」とはどういうことか。

2019.1.27(日)

同時期に行われたスタディ4の活動

オープンラボデイ第3回

参加者は柳河加奈子、ヨネザワエリカ、佐藤李青、高橋創一。これまでの2回同様、最近の関心事について話しながらも、後半ではいつも建てて使っているテーブル兼ホワイトボードをテーブルとして用い、思ったことを目の前のテーブル上に書き込みながら話を進めた。報告会での空間配置や構成について、ふたりで話を聞くことはひとりで話を聞くこととどのように異なっているのか、「聞き癖」についてなど、最近の実践で感じたことも話された。

2019.2

2.17(日)

第6回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

メンバーに対して“聞く”

1/6

このラボには何かしらのもやもやを抱え、場を求めていた人たちがメンバーとして集ってきているように見えた。ならば、そのひとりひとりの“個”の問題や関心を抽象化すると現在の「東京像」が見えてくるのではないか。瀬尾夏美はそう問いを立てて、これまでの活動とは逆に、メンバー各人に話を聞くことに。同時に、スタディ期間終了後もラボとして活動できるあり方について議論が交わされた。

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ふと見渡せば、オチも答えも、ともすれば正否もないおしゃべりを延々と続けることのできる場は、日常の中では意外と少ない。

ゴールを先に設定し、最短距離で解を求めるような手つきはどこにもなく、ほんの小さなミクロな気づきから、大状況に対する巨大で漠たる危機感にまで、思考の拡縮を、無理なくずっと続けられる体力が、場の中にあり、時間としてとても豊かだった。

「かたつむり」が続くのなら話す事や聞く事(聞いてしまう事)の複雑な影響について考えていければいいですね。

2.24(日)

第7回

場所:パズル浅草橋

聞くためのラボを再現する

1/6

報告会では、テーブルを囲みながら対話を重ね、話題に出てきたトピックを板書するという普段の活動日を再現することとなった。ファシリテーターの小屋竜平による活動の振り返り、瀬尾夏美が聞き書きを行った個々のメンバー紹介、それを受けての対話という3部構成で「東京で話を聞くことの難しさ」や「時間をかけたおしゃべりの重要さ」など、活動全体を振り返って見えたことを共有した。

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その後の活動

2019.8

8.26(月)

「継承」に関する展覧会をつくる!

1/1

半年間の「かたつむり」としての活動を経て、そこで養われた「聞く」という手法を用いて、被災体験が家庭内でどのように継承されてきたのかをリサーチし、展覧会をつくることが決定! 見聞きした言葉や調べたことなどを組み合わせることで、展示の鑑賞だけではなく、その場自体を対話や聞き取りの場として生かすことも想定して、準備が行われている。

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自分の足で
「あるく みる きく」ために

知ること、表現すること、伝えること、そしてまた知ること(=生きること)

大小を問わず、日々感じる不具合や不自由を、あるいは喜びを支えているものが何なのか?
それがどのようにして立ち上がっているのか?
それぞれの方法で解きほぐし、理解してみようと試みます。

ゲストアーティスト3名の表現の現場に触れながら、あるいは共に、参加者自らが制作と表現を行います。
ただし、「アーティスト」になることや「作品」づくりを行うこと、ある「方法」を教えることが目的ではありません。

かつて宮本常一が『あるく みる きく』(※)で展開したように、出来事や状況を安易に価値化せず、
ひとが世界と向き合うそのひと自身の目を失わないように、考え、やってみて、また考えてみる。
身体全体をつかい、潜在する見えにくいものを丁寧に感知する。その手法を丁寧に考える。
停滞することを厭わず、何であれ一つ知り得たことが次の動きの標(しるべ)となるように、
一人一人がじっくりと立ち止まって考え、やってみる。

その過程を経験する場をつくり、表現の礎が日々の沢山の気づきであることを自ら学ぶことを目指します。

※ 『あるく みる きく』は民俗学者の宮本常一が主宰した近畿日本ツーリスト株式会社・
日本観光文化研究所が1967年から1988年まで発行していた月刊誌。

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ナビゲーター

宮下美穂(NPO法人アートフル・アクション 事務局長)

ゲストアーティスト

揚妻博之(アーティスト)

大西暢夫(写真家、映画監督)

花崎攝(シアター・プラクティショナー/野口体操講師)

メンバー

芦沢友紀子(ウッカリ母さん)、芦田忠明(中年のただの会社員) 、加藤忠((目指せ)ダイアローグインライフ&アート)、金丸泰子(メタ視点を持ちたい近眼)、芝辻ぺラン詩子(やり手ババア見習い)、瀧本広子(とくしゅ何でも屋)、辻隆公(農家の長男)、橋爪茉莉花(大学生)、平田絵美子(お絵かきナース) 、松山雄大(会社員)、宮地尚子(お絵かきドクター)、吉立開途(市井の人)

チューター

渡辺智穂(事編kotoami)
マスター(つきいちカレー屋ゲリラ・レストラン主宰)

スタディマネージャー

佐藤李青(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)

2018.9

9.16(日)

第1回

場所:小金井市環境楽習館

新しい出会い

1/6

アーティストの表現の現場に触れながら、共に自らが制作と表現を行う。まずは、自己紹介を交わし、ゲストアーティスト3名のプレゼンテーションからスタート。なぜ、どのように制作をしているのか、三者三様の考え方や経験をきく。また、制作を支える身体について考えるために、野口体操のメソッドを用いて「身体を水の入った袋」として扱うワークを行った。

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果たして生きるための杖に機能する表現とは。今回のスタディの問いですが、参加者には(ゲストも)まだそうした問いが落ちきってはいません。ゆえに今後の動き方に戸惑いが見受けられるので、今後は実践しながら共有していくことになります。

町からもっていく生き方が通用しない。

お湯を入れたビニール。お腹にのせる。体をゆらす。腰、足、手、全体。

オリエンテーションの終了後に、武蔵小金井駅で、参加者の2人とバッタリ出会い話し合った。後から考えると辻さんと吉立さんだった。このスタディ5、今後どうなるんでしょうか、という話をした。

2018.10

10.6(土)

第2回

場所:小金井市環境楽習館

ブラインドウォークと小枝

1/6

「身体と感覚を拡張する」がテーマ。ウォーミングアップをしてから、ペアになって、庭でブラインドウォークを行った。ひとりは目隠しをして、もうひとりはそれに寄り添う。ほんとうに危険に近づいた場合は合図で止めるが、そうでなければ特に静止せず、言葉も使わない15分間の冒険。そのあと、大きな紙に絵を描いたりしながらめいめいで過ごし、そしてみんなで振り返りを行った。

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敢えて暗闇の中を彷徨うこと、それも孤独にではなく彷徨うこと。言葉だけではなく、身体性をもって。宮下さんが、私がプログラマだが身体性を重視していると指摘してくれたが、プログラマもキーボードの打ち心地という形で身体性を求めてはいるのだ。

他者に委ねることを、私たちはそれと気づかぬだけで日常的にしている。ただ、その事態の重要性はおざなりにされているのかもしれない。

2018.10.7(日)

同時期に行われた宮下美穂の活動

市民講座 対話をひらく 第1回:メイをめぐるタビ

「対話をひらく」は、ゲストによる主題をめぐるプレゼンテーションと参加者との対話を行う場。スタディメンバーも有志が参加し、通常の活動とゆるやかに影響を与えあっていた。初回のゲストには映像作家・大木裕之を迎え、毎年5月に撮った5年間の断片がつなぎ合わされた映像作品『メイ』を鑑賞。映像を介して他者の日常に触れることで、思いがけず参加者自身の記憶を想起させることになった。この作品が何を捉えようとしていたのかを軸に対話が行われた。

ウェブサイト:市民講座 対話をひらく
企画:NPO法人アートフル・アクション

10.27(土)

第3回

場所:小金井アートスポット シャトー2F

山形、徳山、くじら山

1/4

前回のワークでの気づきをもとに、野宿をめぐるイメージや記憶について書く、身近な人々を写真に撮る、日々感じる様々なことを描く感覚のフィールドノートという3つの宿題を発表。それぞれがやってきたものを壁に貼って、鑑賞しながら感想を交わした。後半は、アーティスト・揚妻博之から山形でのリサーチの報告を、写真家/映画監督の大西暢夫からは岐阜県徳山村での制作の話をきいた。そして、近所にあるくじら山へ。

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このリサーチって、自分にとって何なのか。

演劇なんて自分はできないと思うのだが、宮下さんに演劇やってみようといわれると、ほんの少しできそうな気がしてくる。

前回の課題で大西さんが身近な人の写真を撮ることを出したら、数名「いない」という回答があり、大西さんが戸惑う場面あり。ゲストアーティスト、ナビゲーターも気づきがあるスタディになっています。

2018.11

2018.11.10(土)

同時期に行われた宮下美穂の活動

市民講座 対話をひらく 第2回:清野賀子のまなざし

学芸員・天野太郎をゲストに迎え、バブル崩壊を駆け抜けた写真家・清野賀子が捉えた「時代」についての対話。企画した展示などのエピソードから、何気なく撮影されたように思わせる風景の写真にも、撮影に及ぶまでの緻密なプロセスがあることが紹介された。清野のまなざしの背景にはどのような思考があったのか。参加者とともに議論を深めた。

ウェブサイト:市民講座 対話をひらく
企画:NPO法人アートフル・アクション

11.18(日)

第4回

場所:小金井市環境楽習館

思い出の場所を描く

1/5

大西暢夫の取材テーマは、衣食住である。今回は、岐阜県徳山村の糸にまつわる産業について。現在のわたしたちの生活は、衣食住は基本的に分業化されており、自らかつくることは少ないため、「衣食住が地域に根づく暮らし」について考えることは新鮮な時間だった。 次に、「子どもの頃の遊びの絵地図」を描くという宿題を発表。スタイルは自由だったため、メンバーの幼少期の記憶、現在に続く影響などが見てとれた。

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糸には、季節の糸がある。

大西さんの写真は、美しいのだが、静態として美しいのではなく、ダイナミックというか生き生きとしたものの美しさがある。

2018.12

12.2(日)

第5回

場所:佐野書院(一橋大学)

基本的なあり方が生まれた「転換点」

1/4

いつものように野口体操をベースにしたウォーミングアップを行い、前回つくった「子どもの頃の遊びの絵地図」とそれにまつわる詩を、佐野書院の空間を使って表現するということをした。 一人ひとりが自分の記憶や環境、素材と対話し、それによって作品を編み上げる。その作品について、上から評価するのではなく、おのおのが感想を言い合う。スタディ5の基本的なあり方が生まれた「転換点」だった。

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昨晩までパソコンに向き合って寝不足。おやすみしようかと思っていたけど、景色が良くて来てよかった。

原風景に助けられる。

最後のシェアでも話しましたが、みなさんの制作風景から予想していたことを超える作品やパフォーマンスが、とてもステキでした。

おやつが足りなかったので滝本さんの自転車を借りて、おやつを買いに行った。「かりんとうみたらし団子」というのが売っていたので買って見た。この季節の国立は自転車で走ると綺麗だった。

12.22(日)

第6回

場所:小金井市環境楽習館

おいしい年末

1/1

前半は、大西暢夫が20年ほど続けている精神病院の取材について話を伺う。日本において課題となっている「長期入院」の方々について、大西のまなざしと経験を通して語られた。 後半は、シアター・プラクティショナー/野口体操講師の花崎攝と一緒に、身体を使ったコミュニケーションを。ゲームのようにルールを用いて、ペアで身振りの連鎖行うワークだった。最後は、おいしいものを持ち寄っての忘年会!

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わからないことが重要。

大人や子供が年齢も関係なく、絵を描きながら、みんなでおかしを食べるとても良い空間のように思える。

みなさん日常でも演技をしている。

2019.1

1.12(土)

第7回

場所:マンションの集会所

スパイシーな甘酒

1/4

花崎攝のワークからはじまる。椅子取りゲームのようなことをしたり、布や棒を使ったりしながら、身体とその反応を確かめていく。最後は、身体を使った表現。2つのグループにわかれて、あるテーマについて身体を使って表現する。途中、マスターのつくってくれたインド風のスパイシーな甘酒で温まる。 その後、まるくなって報告会と展覧会について話し合い、自分の居所や企画についてそれぞれの考えを交わした。

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年末から正月明けにかけて、スタディ5のメールでやりとりが飛び交った。少しずつみんなが関わりはじめている。

今日は参加者全員の展覧会案を聞いた。みんなが違うことを考えているのだなと、改めて思った。

1.19(土)

第8回

場所:小金井アートスポット シャトー2F

その人の取りやすい姿勢

1/2

前回に引き続き、お菓子をつまみながら、展覧会について話し合うところからスタート。 次に、大西暢夫が現在取材している、重度身体障害者向けの車椅子をつくる職人についての話をきく。職人さんは、どのような形態が合うかを彼らに実際に座ってもらって試して、その時の些細な反応を頼りに、かたちを決めているという。「コミュニケーション」の根本について考えさせられた。

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自分がもし違う人生を生きていたら?

わからないことを解決したがるが、それをもちこたえる。外に出そうとすることで見えてくることもある。表現する、伝えようとすることで伝わることもあると思う。

ワークの終了後、シャトー2Fのカフェスペースで残れる人だけ残って、色々と話をした。展覧会の話や、スタディ5に関係ない話。まったりと時間が流れる、いい時間だった。

2019.2

2.10(日)

第9回

場所:小金井市環境楽習館

忘れられない些細な他者

1/6

メンバーの松山雄大の提案で、「忘れられない些細な他者」についてみんなが話すところをきく、というワークを行った。まずひとりがインタビューをして、それをインタビュアーでない第三者が聞き書きし、今度は聞き書きした人がインタビュイーになりきって朗読する。迂回することによってさまざまな関係性が発生し、実りの多い時間だった。 この日のお昼は、マスターがカレーを振舞ってくれた。

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「忘れられない些細な他者」の裏には、「忘れてしまった些細な他者」たちが無数にいる。彼らにもそれぞれの幸福と苦悩がある。そのことを思うと、何か途方もない感じと不思議な愛おしさと自身の忘却への戦慄が湧いてくる。

誰しもが「忘れられない些細な他者」を記憶しているし、誰しもが「忘れられない些細な他者」当人だと思う。

2019.2.23(土)

同時期に行われた宮下美穂の活動

市民講座 対話をひらく 第3回:まだ見ぬあなたをたずねるために

福島県いわき市にある復興公営団地で行われているコミュニティプロジェクト「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」。ディレクターを務める文化活動家・アサダワタルをゲストに迎え、対話の可能性を探った。団地での暮らしを感じさせる雑貨などの小物が置かれた会場で、プロジェクト開始から現在までの生活の変化や、住民の方々にインタビューするときの態度について話を聞きながら、参加者からの質疑応答を中心に議論を行った。

ウェブサイト:市民講座 対話をひらく
企画:NPO法人アートフル・アクション

2.24(日)

第10回

場所:パズル浅草橋

ぐだぐだ、あるいは迷うこと

1/6

報告会は、ナビゲーターの宮下美穂がスライドを流し、それぞれの写真や映像を説明。それに対して、メンバーがときどきツッコミのような合いの手のようなものを入れていくという形式をとったが、ぐだぐだだった。しかし、このぐだぐだというか、「迷っている」感じはスタディ5らしいのかもしれない。

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その後の活動

2.25(月)

場所:それぞれの場所

あるく みる きく つくる

1/6

展覧会に向けて、時間に追われながらも何度も集まり、自宅では一人ひとり作業を進めていく。インスタレーションや絵、映像、パフォーマンス、インタビュー集など、その形態はさまざまだ。しかし、予定や計画は変更を繰り返す。目論見通りにいってはおもしろくない、というこのスタディで学んだことを携えながら。

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2019.3

2019.3.3(土)

同時期に行われたスタディ5の活動

大西暢夫『オキナワへいこう』上映会

ゲストアーティストの大西暢夫が撮影した『オキナワへいこう』をスタディメンバーと希望者で鑑賞した。
主人公は大阪の精神科病に長期入院している患者さんたち。「一生に一度、沖縄に行きたい」という気持ちから、看護師さんたちの支援も受け、沖縄へ行こうとする。沖縄のシーンはそれほど多くない。この映画をめぐって、日本の精神医療制度、家族の在り方などについて対話が行われた。

企画:NPO法人アートフル・アクション

2019.4

4.20(土)

場所:小金井アートスポット シャトー2F

そして、またあるきはじめる

1/6

この半年間、あるいて、みて、きいて、そして身体を動かし、考えた証として、展示『あるく みる きく またあるく』を開催。出展者は、18名。トークイベントなどを通して活動を振り返りながら、一人ひとりの部屋(作品)の変化に立ち合うような8日間だった。そして、またあるきはじめる。

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スタディ3
清宮陵一(音楽プロデューサー)とビジネスからアートプロジェクトまで、
シーンの第一線で活躍するゲストによる
「これまでとは違う仕組みの音楽の有り様をつくる」ための対話です

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