2018.9.23(日)

第1回

場所:ROOM302(3331 Arts Chiyoda)

関心の共有から始まる

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「ひとの話を聞く」という方法に重点を置き、「いま」「東京」でメンバーの関心を持ちより、調べ、共有、可視化するラボの立ち上げを試みる。暫定的に決まっていることはひとまずこれだけ。半年間、どんな活動をしていきたいのか、どのような「ラボ」をつくっていくのかも、メンバーの関心が拠点となる。この趣旨を前に、一体どのような顔が集い、どのような話が交わされ、どのような「ラボ」を建てていくことになるのだろうか?

2日間連続の初回活動日。1日あたり5時間、それを続けて行うという組み方は、このラボをつくっていく上で、メンバーの関心を共有することを主軸に据えると、それくらいの時間がかかるだろうという読みによるものだ。
午後1時の開始時間を前に、メンバーが続々と集まってくる。ナビゲーターのアーティスト・瀬尾夏美(一般社団法人NOOK)が主に進行を務め、各自の自己紹介を簡単に行った。このスタディでは各回の活動日ごとに、メンバーの関心を共有する紙媒体として『ラボ通信』を発行していく。関係者のみに配布され、内部共有のメディアとして活用する試みだ。初回はメンバー各自が現在考えていることについて300字程度で綴ったものを編集して配布した。
次にメンバー各々の関心を共有することに。一人あたり15分を予定していたが、実際に喋り出してみると予定時間をオーバーしていく。「土地や地域の問題」「SNSで散見されるマウンティング」「東京でセクシャリティを語ること」「東京における分断」「当事者と非当事者の距離」など、自分の抱えている問題意識や普段考えていることを端的にまとめずに言葉にしていくため、熱を帯びながら、自然とメンバー同士が意見を交わし合う姿が見られた。
メンバー6人とオブザーバーの上地里佳(アーツカウンシル東京)の関心共有を終えたところで、初日はタイムアップ。交流会として最寄りの中華料理店に場所を移し、さらに話は尽きずに遅くまで盛り上がった。

2日目は、ファシリテーターの小屋竜平による振り返りからスタート。続けて、昨日欠席をしたメンバーの関心共有を行ったところで一区切り。休憩を挟み、映像作家・小森はるか(一般社団法人NOOK)と瀬尾がこれまでの共同制作について解説する時間が設けられた。これは2人の作品制作方法がこのスタディのコアである、「ひとの話を聞く」ことに結びついているためだ。体験者と協働で作品をつくり、その展覧会を巡回させて対話の場をつくり、そこで非体験者とも協働していく——という作品『波のした、土のうえ』などについて解説しながら、瀬尾は人から聞いた話を書き出す上で、一人称で書くこと、固有名詞を出さないことなど、具体的なテクニックについても触れた。また、「話を聞くということは、部分的にでもその話を引き受けなければいけない」という重要な指摘もなされた。

ここで、次回活動日は東京大空襲・戦災資料センターを訪問することが説明された。このセンターは名前の通り、東京大空襲を語り継ぐことを目的に、民立民営で運営されている。個々の関心で動き出す前に、一旦「ひとの話を聞く」ことを続けてきた、館長である作家・早乙女勝元さんのお話を伺い、センターの主任研究員である社会学者の山本唯人さんに戦争記憶の継承について説明をしていただくこととなった。それにあたり、早乙女氏が東京大空襲被災者の声を聞き書きした『東京大空襲 昭和20年3月10日の記録』と、可能であればもう一冊早乙女氏の著作を読み、その感想を綴ってくる課題が出されたところで、初回は終了となった。

10時間以上かけ、関心を共有するところから始まる。見知らぬ人同士がともに目的を掲げ、活動を始めるための助走としては最低限それくらいの時間がかかる。くたくたになりながらそう実感した2日間だった。

Text=高橋創一